第11話 低階層
少し進むと、早速魔物とエンカウントした。
俺が手を出すまでもなく、ぴしゃあんという音がして魔物に紫電が降り注ぎ、魔物を黒い炭へと変える。
数分ほど待つと、魔物の死体が魔石に変わった。
「このタイムラグ、鬱陶しいな……」
一応、この魔石一個で1000円ほどにはなるので、数分で1000円と考えればタイパはいいが……
「ん。小さいのは、無視して先進も」
「そうするか……」
勿体無いといえば勿体無いので、帰る時に拾えるやつだけ拾うことにしよう。
俺は一応小さな魔石をリュックに放り込み、先へ進む。
魔物を倒しつつダンジョンのマッピングを進めること一時間。俺たちはようやく次の階層への階段を発見した。
「行く?」
「もちろん」
道中の魔物は全て澄火の紫電によって一瞬で処理されたため、俺はまだまだパワーが有り余っている。
かなり長い階段を降りると、そこには草原があった。
地下だが。きちんと太陽があり(多分擬似太陽)、魔物がそこかしらにいる以外は現実の草原とほとんど同じ光景だ。
「……あれかな?次の階層への入り口」
澄火が遠くの方を指差す。電波塔のように細長いポールが見える。
「データベースにはそう書いてあったな」
「……ん。じゃ、走ろ」
「了解」
俺は二刀を抜刀する。
澄火はバチリと「帯電」を発動し、目の奥に紫電を光らせる。
「Go!」
俺は一気にダッシュする。
道中の魔物を澄火が吹き飛ばしつつ進み、あっという間に2階層を突破した。
途中、いくつか罠があったものの、全て澄火が潰していた。
……あれ?現状、俺は何もしていない?
俺は何か重大なことに気づいた気がするが、見て見ぬふりをすることにすることにする。
俺たちはそのまま、二階層へと進んでいく。
「……これって、毎回一階層から進まなきゃいけないのか?」
「……ん。面倒」
ただ、ステータスがどんどん上がっていくだろうし、それに伴って移動速度も上がるだろう。
だから、思ったよりは問題ないのかもしれない。
まあ、今は目の前の攻略に集中しよう。
俺たちは第三階層へと降り立った。
「……なんだこれ?」
「……コロッセウム?」
ローマにあるやつにそっくりな、コロッセウムがそこにあった。
と、不意にガシャンと階段へと通じる場所に扉が降りた。
見覚えのある展開に、俺は澄火と背中合わせになって周囲を警戒する。
「……上!」
俺は回避運動をとる。
数秒前まで俺たちがいた空間に、一体の巨大な魔物が降り立った。
「はあ!」
俺は先手を取るべく、巨大な魔物に向けて連撃を叩き込む。
あっさりと魔物は切り刻まれ、サイコロ状の肉片と化した。
「……あれ?」
俺の予想では、もう少し苦戦すると思ったのだが……
「……まだここ三階層だよ?」
澄火から若干の呆れたような視線が降り注ぐ。
「そういえばそうだったな……」
俺は無言で目を逸らす。
しばらく待っていると、サイコロ状の肉片が一つの気持ち大きめな魔石とナックル––––つまり、ドロップアイテムへと変わった。
そして、ガシャンと階段の扉が開く。第三階層、突破だ。
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