第4話 ショッピング!

がたんごとんと電車に揺られること15分。


俺たちはショッピングセンターのある駅へと到着した。


「では、まずどこから行こうか」

「……俺の服からでいいですか?」

「もちろんだとも。さあ行こう」


俺はユニクロへと向かう。

俺は当面の服はユニクロで構わない。というか、服のブランドをユニクロ以外ほとんど知らないので選ぶこともできない。


服一式を手早く購入し、次に俺たちはランジェリーショップへ向かうこととなった。

……正直、俺だけだったら入れるたかどうか微妙なところなので、ついてきてくれた咲良さんに感謝である。


「……それで、どうやって買うんです?」

「ふむ。彼女のサイズは持っているかな?」

「ええ。スリーサイズなら分かりますけど」

「なら、まずは店に情報を登録しよう」


そういうと、カウンターへ向かう咲良さん。

俺は決して離れないようについていく。


「いらっしゃいませー、会員カードはお持ちですか?」

「いや、新規だ」

「了解しましたー。では、こちらにご記入をー」


そういうと店員さんは咲良さんにぱらりと用紙を差し出す。咲良さんは受け取ると、俺に渡してくる。


店員さんはぎょっとしたような目でこちらを見る。

多分、姉に無理矢理連れてこられた弟みたいなふうに感違いしていたのだろう。


俺は澄火の名前を記入し、新居の住所や電話番号などを書く。


そして、スリーサイズのところではたと手が止まった。


「あのー、彼女から教えられてもらったスリーサイズの数字が4つあるんですけど」


便宜上、俺は澄火を彼女ということにしておく。

そうしないと、俺が彼女でもない女の子の下着を買おうとしているヤバいやつになってしまう。


「数字が四つ……と言いますと?」

「ああ、多分二つ目がアンダーバストじゃないかな?」

「あんだーばすと?」


胸の下?


「うむ。胸の膨らみのすぐ下の部分のサイズだ。カップ数を特定するのに必要なんだよ」

「へええ……」


確か、澄火がいっていたのは……確か、83•60•53•80だったはずだから……60がアンダーバストか。

俺は記入して店員さんに渡し、咲良さんに質問する。


「……いくつぐらい必要そうですか?」

「彼女も沢山運動する探索者だろう?そうなると、普段用に加えて、スポーツ用の下着が必要だな。あとは、夜用と……まあ、合計11セット……いや、13セットほどあれば、当面は困ることないだろう」


13セット……そんなに必要なのか。

……女性は大変だ。


「その……デザインを選んでもらっても?」

「何を言ってるんだ?彼女のなんだから、自分で選びたまえよ」

「……………………え?」


嘘でしょ?


「大丈夫。私も店員さんもサポートするさ。な」

「ええ、もちろんです」


店員さんは13セットという咲良さんの発言により、目がお金のマークになっていた。

やる気まんまんだ。


……逃げ道はなさそうだ。


俺は諦めて、死んだ目になりながら澄火の下着を選ぶのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る