第11話 一休み
「……これはまずいかもしれない」
俺はひたすら目の前を切りつけつつそう呟いた。
後から後から、ダンジョンの奥からモンスターは湧いてきて、まるでとぎれる気配がない。
もうすでに俺は時間の感覚を失っているので、何時間経ったかもわからない。
「若くん」
と、隣に星野が来る。
「いくよ」
星野が息をすーっと吸うと、
「はああああああ!」
と叫ぶ。
同時に、紫の雷のドームが星野から広がる。ドームは触れたモンスターを吹き飛ばし、そして停止した。
そのまま、結界のようにその場に紫電の壁ができる。
「1分は持つ……はず」
俺はその星野の呟きを聞いてから、ぺたんと尻餅をついて荒い息を吐く。
正直、心身共にかなり限界だ。
俺はなんとか呼吸を整え、ズタボロになったナイフをドームの外で右往左往しているモンスターに投げつける。
そして、そばに散らばっているドロップアイテムを二振り取り上げる。
なんと、日本刀だ。それも、結構品質が良さそうな。
「
「……正直結構きつい」
俺は星野の方を見る。
俺の撃ち漏らしがあったせいで、服がズタボロになり、そこから見るに堪えない傷がのぞいてしまっている。
さらに、服や体に付着した血や体液は消えないのか、なんだかエキセントリックな模様が髪や服に生まれてしまっている。
「ステータス」
若槻
レベル35
HP 500/750
MP 600/600
SP 0
筋力 457
魔力 378
敏捷 421
耐久 411
器用 451
ステータスはかなり伸びた。
ただ、敵のステータスも上がってきているので、あまり敵の硬さといった面では変わらない……いや、むしろどんどん固くなって行ってる気さえするのだが。
俺はふと気になってポケットを漁る。
残念ながらというべきか予想通りというべきか、戦いの最中にスマホは壊れてしまっていた。
どうやら星野も同じ状況のようで、悲しげに半分に分かたれてボロボロになったスマホを見つめていた。
俺は傍にスマホを投げ捨てて、星野に呼びかける。
「星野」
「…………ん?」
星野は反応してこちらを向く。
俺はじーっとその瞳を見つめる。
「生き残ろうな」
「……ん」
星野はゆっくりと頷いた。
俺は気合いを再充填し、刀を両手に構える。
正直、まだ慣れないが、一刀流よりはステータスが幾分か活かしやすい。
手数を無理矢理にでも増やせるのも魅力である。
「ドーム、そろそろ切れるよ」
そう言い残して、星野は再び俺の後方に引き上げる。
その直後、ふっとドームがかき消えた。
瞬間、俺は弾丸のように飛び出して、再び戦闘を開始した。
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