第10話 百鬼夜行

ゾロゾロとダンジョンの奥からモンスターがやってくる。

骨格標本のような見た目のモンスター、さっきの小鬼や狼の成長した姿のようなモンスター、不定形のグネグネと動くモンスター、目に足が生えたような見た目のモンスター。


まさに百鬼夜行といった様子である。


そうした魔物が、次から次へとダンジョンの奥からやってくる。


「多いな」


俺は顔が引き攣るのを感じる。


結構な魔物が見えたと思ったのだが、まだ途切れることがない。

今までとは、文字通り桁の違う魔物の数だ。


「……その血、大丈夫?」

「……なんとか」


俺が被った巨体のモンスターの紫色の血は、まだ死体が消えてないので消滅していない。


非常に不快だが、耐えるしかない。


俺はステータスを開く。



若槻 翔

レベル8

HP 100/100

MP 80/80

SP 0

筋力 70

魔力 38

敏捷 50

耐久 52

器用 52



思ったよりもレベルが上がってないが、ステータスはかなり伸びている。

魔法を使っているモンスターを倒していないからか、魔力の伸びはあまり良くない。が、現状では使う手段がないので些細な問題だ。


代わりに、筋力は結構伸びがいい。これはかなりありがたい。


俺はステータスを閉じ、星野に問いかける。


「星野はレベルいくつぐらいになった?」

「11」


さっきのでっかい5体は俺が倒したものの、小型モンスターは星野の方が撃破数が多いからだろう。俺よりレベルが3も高かった。


「高いな」

「そう?スキルも色々取ったけど……説明している余裕はなさそ」

「だな」


俺はだんだんと近づいてくるモンスターの群れをちらると見る。


「よし。俺は前線に立つから、星野はユニークスキルでバックアップを頼む」

「了解。だんだん慣れてきて、扱いも上手くなってきたよ」


そういうと、星野は指を一本立てて、その周りにくるくると電撃を踊らせて見せる。


なかなかかっこいい。


「じゃあ、行くか」


俺は拾ったもう一本のナイフと共に、二刀流の構えを取る。

もちろん、昔見た漫画のキャラの見様見真似である。

現実でやると少々カッコ悪い気もしなくもないが、そこはご愛嬌。


「いくぞ」


俺は50に上昇した敏捷のステータスを駆使して突進する。

敵が俺の軌道に合わせて攻撃してくるのに合わせて宙に飛び、そのままダンジョンの天井を蹴って赤い小鬼の首を切り飛ばす。


そして、周囲の魔物に休むことのない攻撃を仕掛ける。

骨格標本は殴って吹き飛ばし、グネグネのモンスターは攻撃を回避しつつ星野に任せる。目玉を切り裂き、狼の喉にナイフを突き立てる。


戦っている間にもステータスが徐々に上がっていくので、だんだんと動きが楽になっていく。


……これは行けそうだ。

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