第2話◆十日後にやらかすグラン&巻き込まれるアベル――二日目

 昨日森へ入り、まだあまり変化していない若いスライムを数匹捕まえて来た。

 これを一日か二日食事を与えないでおくとまっさらなスライムになる。

 スライム君ごめんよ、ちょっと断食をしてもらうよ。


 スライム君に断食をしてもらっている間、服だけを溶かすスライムの性質、方向性について考えてみる。


 人の体を溶かさず、服だけを溶かす。

 スライムは基本的に何でも溶かす。溶かしてものを吸収して、それを栄養とする。これがスライムの食事である。

 ずっとスライムの食事を観察していると、個体によって好き嫌いはありそうな感じはする。

 個体の性格によってなのか、性質によってなのかまではよくわからない。

 仮に服だけを好んで溶かすスライムを作れないだろうか。

 いや、服だけを溶かす性質にできれば問題ないのだが。


 そこで人体と服の違いについて考えてみる。

 助けて、転生開花先生!!


 服には動物繊維と植物繊維がある。

 他にも魔力を帯びた無機物から作られた魔導繊維があり、魔法を使う者達が身に着けるローブによく使われる素材だ。

 値段は原料によってピンからキリまで。アベルの着ているローブも超高級な魔導繊維のものである。

 しかし魔導繊維は特殊なので今回は除外。一般的によく身に着けられる動物繊維と植物繊維で考えてみることにしよう。

 頼むぞ転生開花!!


 動物繊維は人体と同じ動物性タンパク質でできている。動物繊維を溶かすスライムは人体も溶かしてしまってもおかしくない。

 つまりその逆。

 動物繊維を溶かさない、もしくは好まないスライムを作り出せば、麻や葛、綿等の植物繊維の服だけを溶かすことは可能かもしれない。


 植物性のものだけを溶かす素材、もしくはそういう生物。

 むう……草食性の生物の何かそいうものがいただろうか?

 ううむ、ぱっと思いつかないな。


 植物性のものだけを溶かす生き物に付いて調べるため、俺はピエモンの冒険者ギルドの図書室へと向かうことにした。




 出かける前にスライム君達が思わず服だけを溶かしたくなるように、むかーし王都にいる時に買った、ちょっとえっちな服を着た女の子の姿絵を水槽に貼っておいた。

 スライムに好みがあるかどうかは不明だが、これは刷り込み学習の検証を兼ねているのだ。

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