第2話 記録

沢山の記録を読んでいく中でディラスはある事に気づく。


100とある記録のページなのだが、1番重要であろうとされる所だけポッカリと抜けており空白の1ページとなっていた。


ディラスはその記録を読んでいく中でまた、ある事に気がついた。

「ディラス」


何故かこの文字だけどの文字よりも濃ゆく主張されていた。


どうやらこの世界には「名前」というのが存在するというのを知ったので、 この文字を名前にする事にした。



この文字はなぜか記録の中で1番印象を残し、心の中の痛みを少しだけ和らげてくれるような感じがしたからだ。


ディラスの両腕は左右で長さも違えば、色も違う。

両足も長さが違えば色も違う。


ディラスは自分が低いランクのパーツで作られた命だと思い絶望した。


低いランクのパーツで作られた自分には時間がない、いつ腐っていくかもわからない。


「自分はなんの為に作られ、誰の為に生きている?」


この想いは胸の痛みをより1層強くしていく。


どうすることも出来ないこの想いにディラスは1人雄叫びをあげた。


その雄叫びは何かを忘れようとするような荒々しく、だがどこか悲しみに満ち溢れた声が半日にかけて街を包んだ。


一日がすぎ、叫び疲れたディラスは少し冷静さを取り戻し、もう一度99ページの記録を読み返す。


その99ページではやはり この腐った世界を変える1番の情報は書かれていない。


「空白の1ページ」

「これを埋める事で 世界を変える事ができるかもしれない… この胸の痛みも治るはず」


と考えたディラスは、作りの親の研究を引き継ぐ事を心に決め、旅にでていくのであった。



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