空白の1ページ
葛城ネム
第1話 始まりの命
「空白の1ページを埋めろ、後は頼んだぞ…」
謎の声とともに目覚めた1人の少年。
この場所がどこかもわからず、何故自分がここに立っているのかもわからないまま、辺りを見渡す少年。
その場所は10畳程の場所で、薄暗く真ん中には机、辺りには散乱した大量の紙と、よくわからない古ぼけた機械が覆い尽くしていた。
散らばっている紙の1枚を拾い、そこに書かれている文字を読んでみる。
何故か書かれている文字、意味がすんなりと理解できた少年。
〜この世界での命の造り方〜
1.全ての部位がパーツ化されている
2.全ての部位は金で買うか、他人から奪う事が出来る
3. 部位全てに A~Cのランクがあり、見た目も消費期限も変わってくる
4.全ての部位を組み合わせる事で 命を作る事が出来る
1枚目にはこのような事が書いており、ようやく自分の事が理解出来た少年。
少年は自分の身体全体を見渡してみる。
身体のパーツ1つ1つが 黒ずんでいる。
その姿をみた少年は、 自分がランクの低いパーツで造られた命だと感じ、絶句した。
改善のヒントがないかと散らばった紙を拾い集め、1枚1枚読んでいく。
そこには、この世界の現状について、身体のパーツについて、人間には名前があるという事、そしてこの世界をどう変えていくか考えている上で、謎の軍団に命を狙われているという事が書かれていた。
その中で 「アム」というよくわからない文字が何故か魅力的に感じた少年は、自分の名前を「アム」と名乗る事にした。
更に読んでいくのだが、最後の1ページ、この世界を変える為に必要な物、そこだけ空白となっていた。
この空白を埋める物は何なのか探る為 アムは更に辺りを見渡すと、端の方で自分と同じ色の身体を持つ人物が、血をだして倒れている事に気づいた。
アムはこの人物が答えを知っていると思い、身体を揺さぶってみたり呼びかけてみたが、反応はない。
その人物の手には1つの紙が 握られていた。
その紙にはアム自身の、設計図が書かれていた。
そこでアムは全てを理解した。
この人物が アムの造りの親であり、この世界を変えるために研究していた人物であり、
「空白の1ページを埋めろ、後は頼んだぞ…」
というさっきの声は この人のもので、自分にこれからの事を頼んで死んでしまったと。
アムは色々な事が一度に起き、 感情に押しつぶされそうになっていたが、 何故かこの人の言葉が、頭と心に染み付いて離れないでいる気がした。
アムはスっと立ち上がると、窓に近づき外を眺める。
その先に見た景色は、あまりにも悲惨な有様だった。 家、草、全てが焼け落ち 誰かの身体のパーツの一部が、色々な所に転げ落ちていたりなど見てもいられない有様だった。
この現状、自分がこれから何をすればいいかわからない、 身体がいつ腐るのかという不安感。
全てにおいて不安で 絶望していた アム。
だが、この造りの親が残した最後の言葉を心の糧にし アムは一人、 旅にでる。
「空白の1ページ」を埋める旅に。
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