第13話 新天地へ

 シェトレボーの移転については、着々と準備が進んでいく。


 私も帝国へ移り住むために、ヴィラルドワン公爵家の当主であるお父様にも許可を得るためにお話した。


「エヴラール王子との婚約を破棄されてしまった私は、新しい婚約相手を国内で探すのは難しいかと存じます。なので、リメルルカ帝国に行ってみようかと思いまして。そこで良い相手と巡り合えれば、婚姻を結びたいと考えております」

「なるほど。それでいいんじゃないか」


 表向きの適当に考えた理由をお父様に提案してみると簡単に、帝国に移り住む許可をもらえた。さっさと話を終わらせたいらしい。


「それから、エヴラール王子に王国内での営業を禁止された菓子店を、帝国に行って再開しようと考えています。よろしいでしょうか?」

「お前の好きにすれば良い」


 この前、それは私が勝手に始めた商売だから自分で面倒を見ろと言われた。父は、興味も無いようでコチラもあっさり承諾する。


 干渉されないのは面倒がなくて良いんだけど、あまりにも無関心すぎる気がする。私に対して愛情が無いからなのか。それとも、私に期待していないのか。


 まあでも、許可を得たので自由にやるだけ。言われた通り、好きなようにする。




 菓子店シェトレボーのスタッフ達も移住する。彼らも一緒に、ついて来てくれた。大変な状況だけど、お店を続けていきたいという気持ちを持ってくれているようだ。ありがたい。


 調理道具などの輸送は、約束した通り商人のイングルさんが手配してくれた。


 帝国の新しい店舗まで既に用意されていて、至れり尽くせりである。本当に、感謝しかない。


 新しいお店に道具を搬入して、王国に居たときと同じように菓子製造が出来るようになるまで、すぐだった。


 早速、帝国で菓子店シェトレボーをオープンした。帝国にもシェトレボーについての評判が伝わっていたらしく、興味津々で多くのお客様が来店してくれた。


 初日から大盛況。売上も十分。帝国でもやっていける、という自信がついた。


 しかし、問題もある。新しい土地に移ってきて、帝国で暮らしている人たちの味の好みは違うだろう。今まで作ってきた商品の味でも、かなり反応は良かった。だが、もっと帝国の人たちに受け入れられる味にする必要があるだろう。


 しっかり調査して、味を調整していく必要がある。見た目は、そのままでも大丈夫そうだから。まずは、味から。


 前と同じように出来るけれど、変えないといけない部分もあった。ちゃんと帝国に馴染めるよう改善していかないといけないわよね。


 帝国に移ってきて順調だけど、やるべき仕事もある。お店の営業を禁止されたが、続けていけそうで良かった。これから先が楽しみ。

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