第10話 ブロットへの交渉申し出

 記者会見が終わると、僕はブロットにメールを送った。


「先ほどの会見、何回か『に』と『が』の使い方を間違えていたのではないでしょうか」


 とりあえず気になったことの指摘をしておいて、本題を切り出す。


「もう一度話をしたいのですが」


 メールを送って、ブロットからの返事を待つことにした。



 この前のようにすぐに返事は来なかった。


 個別の質問に応じて忙しいのかもしれないし、無視しているのかもしれない。それは分からない。


 ただ、完全に無視することはできないだろう。


 こちらには何と言っても魔央がいる。


 仮に追い詰めすぎたら、世界を滅ぼして終わらせることもできるわけだ。


 破壊神が最後の綱というのも妙な話ではあるけれど、手持ちのカードは使わないといけない。



 ノックがあった。


 入ってきたのは武羅夫と武蔵だ。


「悠、大変なことになってしまったな」


「そうだね」


「だが、安心するといい。この高校最強忍者服部武羅夫と大学最強剣豪佐々木武蔵がいる限り、お前には指一本たりとも触れさせない」


「ありがとう」


 意気込みはありがたいけど、多分無理だろうなぁ。



 今回のブロットの計画だと、人生が破滅状態に陥る者が多数いる。そういう連中が直接狙ってくることも考えられる。


「例えば、ヌペツナズとか革命戦線から暗殺者が来るかもしれないわね」


 川神先輩がおっかないことを言ってくるけど、まさしくその通りだ。日本国内でも敵は限りなくいることだろう。そうした面々が元祖任侠組などに頼んでくるかもしれない。


 相手が悪過ぎる。二人やその他エキストラの忍者達はほとんど頼りにならない。


 だからと言って、誰に頼るかというとアテはないのだけれど。


 もちろん、山田さんや木房さんは護衛よりは頼りになるのだろうけれど、彼女達に借りを作り続けるのも望ましくないからなぁ。



「でも、どうやってエネルギーを作るんでしょう?」


 魔央が質問を投げかけてきた。


 確かに、どうやってエネルギーを作っているのかは、気になる。


 記者会見では、発電所のような設備は使っていないと言っていた。だから、各国が何を言っても関係ないのだと。


 しかし、施設もないのにそれで何十億人という人達のエネルギーを作れるのだろうか。


 環境面その他の問題は無いのだろうか。



 考えていても分かるはずがない。


 空気中の端末やら、彼らの考えることは中々ぶっ飛んでいる。


 千瑛ならば知っているのかもしれないが、正直、あまり千瑛に頼りたくもない。



 と、電話が鳴った。



 相手は……ブロットだ。


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