第2話 ブロット襲来?
スウェーデンの地下組織ジャーブルソン。
暴力団のような組織かと思っていたら、とんでもない技術をフリーに使えるようにして、人類をハチャメチャにするのが目的のようだ。
しかし、そんな彼らが何故、日本にやってくるのだろうか?
『それは直接本人から聞けばいいわ』
と、知恵の使徒。
そういえば、さっき筋尾組長との話の中で、「直接日本に行く必要がある」と言っていた。ということは向かっているということか。
確かスウェーデンから日本への直行便はなかったはずだ。
フィンランドのヘルシンキには行き来があったはず。
あれが9時間か10時間くらいだった記憶がある。
『昨日の昼にストックホルム・アーランダ国際空港から出発しているわ』
「昨日の昼? ということは、いつ着くの?」
『20分遅れで9時20分に到着して、今、東葉線でこちらに向かっているわ』
「着いているの!?」
じゃ、さっきの「直接日本に行く必要がある」って言葉は何なんだよ。
もう着いているって言えばいいじゃないか!
『これが向かっている様子ね』
空気中のモニターに、東葉線のつり革を持っている北欧人が映っている。
「あれ……? 髪がさっきより増えていない?」
先程知恵の使徒に見せられた画像だと、髪の色合いもあって薄く見えたけど、今は色も少し濃いし、何より毛髪量が明らかに多い。
『アレよ。アレ……』
「アレか……。いや、でもジャーブルソンって絶対評価なんだよね? 人の評価なんか気にするなって言っているのに、そのリーダーが人目を気にしてカツラを被るって完全に言行不一致じゃないの?」
『そんなことは私の知ったことではないわ。本人に言ってちょうだい』
まあ、それはそうか。
カツラのことを聞くかどうかは別にしても、昨日の段階で出発していて、もう日本についているということは、今起きている事件以外の目的で日本に向かっていたのだろう。
つまり、筋尾組長との連携を強化するということだろうか。
筋尾組長の組は元祖任侠組。
最近の金目当てばかりではないヤクザ達ということらしい。
「つまり、刺青とか人生とか、人目を気にしないで金も稼がずに勝手にドロップアウトしているという点では、確かにジャーブルソンの言い分とも被るのかなぁ」
「……時方さんとやら、しれっと失礼なことを言っておりゃせんか?」
「ナチュラルに失礼なのが時方君のスタイルなのよ。気にしないであげて」
知らないうちに僕が失礼千万な奴扱いで、山田さんがそれを宥めている。
「世界をいきなり滅ぼすわで、とんでもない奴らじゃ」
それは僕のせいじゃないから。
向こうがこちらに来るというけれど、こちらは彼らの相手をしなければならない言われはない。ただ、魔央にも興味を持っているようだし、つきまとわれるとウザイ。どうしたらいいだろうか。
「ねえ、知恵の使徒。どうしたらいいかな?」
『何で私がそんなことまで答えてあげなければいけないの?』
来たよ。また不機嫌モードというか、関係ないでしょモードだ。
それなら最初から出てこなければいいのに。
「……分かったよ。土下座でも何でもするから、さ」
『何度も何度も土下座だけで許されると思っているの?』
「……じゃあ、何をすればいいのさ」
『そうね。裸になってお盆をもって踊ってもらおうかしら』
「冗談じゃない!」
魔央や山田さんや海斗までいるところで、そんなことができるか。
『……』
くそ、黙り込んでしまった。しばらく無視しようという魂胆か。
と、思いきや、上からプロペラ音がした。
ドローンが一機飛んできて、それが何かを落とす。
乾いた音とともに落ちてきた皆の視線が集中する。
二枚の金ダライだった。
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