第7話 翻訳機を使ってみる

「……大丈夫か? お前疲れてるだろ?」


俺は藍音が心配になり、藍音のおでこに自分の手を当てた。


「ふぇ? し、翔真? な、何してるの//////」


おでこを俺に触れられた藍音は顔を真っ赤にしながら慌てだす。


「いや、藍音が変な事を言い出したから、熱があるんじゃないかなと思って」


うん。特に熱は無さそうだな。良かった良かった。


「へ、変な事は言ってないよ!」


「十分変だろ? 翻訳機なんて1時間そこらで作れる訳ないだろ。 いくらお前が天才で可愛くても」


俺は藍音に率直な意見を述べる。


「実際作っちゃってるんだもん。信じてよ翔真。 この位の機械は集中して作業すれば1時間もあれば作れるんだよ」


真面目な顔をした藍音が言うんだ。このワイヤレスイヤホン(黒)は翻訳機で間違いないんだろう。 俺は藍音の言う事を信じる事にした。 藍音は昔から嘘は言わない性格だからな。


「ほぇ~。そうなのか。やっぱり俺とは頭の出来が違うな。尊敬するよ」


「そんな尊敬だなんて////// し、翔真? さっき翔真が言っていた か、可愛いって言葉、本当?」


ん?ああ。あれか。


「ああ本当だ。藍音は誰が見ても可愛いからな。当然俺もそう思ってる」


俺も基本嘘は嫌いだ。嘘を吐いて得する事は何一つないからな。 嘘を吐いても良いのはエイプリルフールの日位だろう。


「そ、そっかそっか////// へ、へ~っ。翔真は私の事可愛いって思っててくれてるんだ~////// ……もしかしたらこのまま翔真の役に立てたらワンチャンあるかも……//////」


「藍音? さっきから何をブツブツ言ってるんだ? 何か思ってる事があるのなら聞くぞ? 俺で役に立てるとは思わないが、聞くだけなら出来るからな」


俺はさっきから1人でブツブツ言っている藍音がまた心配になり、そう声を掛けた。


「だ、大丈夫! 今は大丈夫だから!  " その時 " が来たらちゃんと言うから!」


「そっか。了解だ」


変な奴だなぁ。 まぁいっか。 それより今はこの藍音が作ってくれた翻訳機だ。


翻訳機を手に取りまじまじと見てみる。 


……う~ん。使い方が分からん。 分かる事と言えば、この翻訳機を耳に装着するという事だけか。


「……藍音、早速で悪いんだけれど、使い方を教えてくれ。 耳に装着する位しか分からん」


「了解。えっとね、先ずは翔真、翻訳機を握った状態で魔力を翻訳機に込めてみて」


俺は藍音に言われた通りに翻訳機を握り、翻訳機に魔力を込めてみた。


世の中にダンジョンが出来てから、人類の体内に " 魔力 " という不思議パワーが備わる様になった。 魔力の量は人それぞれで、極端に多い人もいればその真逆の人もいる。 その魔力のお陰で魔法使いのジョブの人は魔法が使えたりしている。


ちなみに俺は多くもなし少なくもなしだ。 俺はテイマーとしてテイムを使う時に魔力を使用している。


藍音も当然ながら魔力を保有している。しかも藍音の魔力量はかなり多い。 流石天才。


おっと、話がそれた。元に戻そう。


すると魔力を込めた翻訳機(ワイヤレスイヤホン(黒))が光を放ち出す。そして直ぐに収まった。


「よし。これで翔真の登録は終わりね。次はスノーちゃんにその翻訳機を当ててみて」


俺は言われた通りに翻訳機をスノーの身体に当てる。 するとまた翻訳機が光を放ち出す。そして直ぐに収まった。


「これでスノーちゃんの登録が出来たよ。翔真、その翻訳機を耳に装着してみて」


俺は翻訳機を耳に装着する。


「よしよし。スノーちゃん、何か喋ってみて?」


藍音の言葉にスノーは頷き


『あ~っ、あ~っ。御主人様聞こえますか? 私です。スノーです』


……え? この少し鼻に掛かる甘ったるい声は……本当にスノーか?


「本当にスノーが喋っているのか?」


『はい。間違いありません。私が御主人様に対して話し掛けています。やっと私の声が御主人様に届きました。とても嬉しいです♪』


……俺は無言で翻訳機を耳から外す。 すると、今まで聞こえていた甘ったるい声は聞こえなくなり、代わりに " キャンキャン " とスノーが鳴く声が聞こえてきた。 もう一度翻訳機を装着。 すると


『無視!? 無視ですか!? それはあまりにも酷くありませんか御主人様!?』


とスノーの口から甘ったるい声で抗議の声が。


「……スノーの声が聞こえる。しかも人間の言葉で……。滅茶苦茶びっくりした」


俺が藍音にそう告げると、藍音は嬉しそうに


「成功だね♪ 流石私天才♪ じゃ早速私も♪」


藍音は翻訳機(ワイヤレスイヤホン(ピンク))を持ってきて俺がさっきした行動を取った。


「うわぁ♥️ スノーちゃんの声可愛い♥️ 女の子って感じの甘い声だ♥️」


『そ、そうですか? 私には分かりませんが💦』


藍音に思いっきり抱き付かれたスノーは戸惑いながらそう答えていた。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m



















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