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情報を扱うことに関しては、私もプナキアも得意だ。

 次にロマは3つの小さなカプセルをリュックから取り出し、私に渡した。 誤飲を防ぐため、ステラの分は私が持った。カプセルを開けてみると、それは一瞬にして鋭い剣になった。

「きゃう」

「こらステラ、危ないから触るな」

 ステラが触りたがって仕方がないので、ロマに剣を預ける。 剣はロマの手中で、あっさりとカプセルの姿に戻った。 柄のところを一周回せばカプセルに戻るらしい。

「これはもしものための護身用だ。ステラにはまだ早いが、お前達二人なら使えるだろう」

 プナキアは初めて持つ剣をブンブン振り回している。 私はにっこり笑っているステラに目を向けつつ、ロマに尋ねた。

「そんなにひどいのか 」

「ん、何がだ? 」

「誰も来ないような洞窟の私たちにまで武器を渡さねばならないほど、その・・・過激派とやらは、行動範囲を広げていて、厄介なのか」

 私にはロマからのプレゼントが、いつ敵がきてもおかしくないから脱出の準備と、応戦の用意をしておけというメッセージのように思えた。ロマはうつむいて、流石だなと言った。

「それぐらいわかるさ」

 私達は、私達の想像以上に危ない立場にいるようだ。 より一層ステラの安全に気を付けねばならない。

 ロマが声を潜めて私だけに言った。

「殺されたくなければステラやプナキアは外に出すな」

プナキアはずいぶん昔に作られたロボットだ。出歩いていれば自然と目立ってしまう。

私は頷いた。

 プナキアは剣を振り終えて、やっとカプセルに戻した。

「さあ、最後のプレゼントだ」

 ロマは最後に3つのカップを取り出した。合成繊維で蓋がされてある。

「ガラクタの中に、テーブルと椅子は無いか? 」

半透明な黄金色のスープをそっと流し込む。 しっとりした後味に体が温かくなる。 ここに居る誰もが驚いたが、プナキアの目の下に急に正方形の穴が出現した。人間でいうところの、口だ。

 そのプナキアは目を丸くして必死でスープをすすっている。 気に入ったようだ。

膝に乗せたステラに、小さく切ったニンジンを冷まして与えようとしたが、ロマに叱られた。

「こら、それはまだ早い。ステラにはまだ歯も生えてないぞ!」

 私はニヤリとしてロマ・ステラをじっと見た。

「俺じゃなくてこの子だよ!」

 私は彼に言い返してやる。

「二ヶ月も一緒に居る私たちに、お前がステラのことで敵うわけないだろう」

 私はステラの唇を軽く捲り、生えかけの歯をみせてやった。

「これぐらいのものなら食べられる。いつまでも柔らかいものをあげていたら、歯が育たない」

 多分。

 ロマは私の自信満々の受け答えにタジタジになっていた。

「この料理はなんという名前ですか? 」

 プナキアはスープを流し込んで尋ねた。

「これはな、シチューというんだ」

 ロマは口をもごもごさせながら話す。

「大体どこの星でも材料が買えるから、また作ってみるといい」

 ロマはしばらくモゴモゴとじゃがいもを噛み砕いていたが、何か思い出したらしく、立ち上がってリュックに手を突っ込んだ。

「そう、お土産はまだあった 」


 萎れて元気のない花の茎を引っ掴んで私に突き出した。 白い花弁が弾けたように開けている。妙に神秘的で美しかった。

「見たことないだろ?これは百合っていうんだよ」

私はガラクタの中からカップを取って、川に水を汲んできた。水の中に花を生けてテーブルの中央に置く。

 しばらくしてロマは帰り支度を始めた。

「これから状況は悪化していくだろう・・・もしかしたら、もう二度とここには来られないかもしれない。どうかステラを、この場所で守ってやってほしい 」

「言われなくてもそうするさ」

 私の言葉に、ロマは満足気だった。ステラは私の腕で、安心しきってぐっすりと眠っていた。

「状況が悪化していくのなら、ずっとここにいればいいです。ここにいれば、安全でしょう」

 プナキアが言った。しかし、ロマは首を振る。

「故郷の村をほっとけないよ」

 最後に泣きそうな笑みをして、ロマは帰って行った。

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