シンプルなストーリーながら奥深い世界を味わえる、異世界転移と神話の要素を織り交ぜた王道ファンタジー。主人公は15歳の少年レオン君、ある日、家の近くにある『神社の森』を散策している時に、巨木に刺さった白い剣を目にします。好奇心から彼が剣に触れると、それは呆気なく抜けてしまい――……
と、この後の展開はお約束通り。白い剣に選ばれた少年は、世界を救うために旅立つことになるのですが。
王道をなぞる展開と思わせておいて、この物語には序盤から丁寧に伏線が仕込まれています。冒頭で簡単に語られる両親の死、兄との関係。神剣とその持ち主を捜し、仲間を増やして決戦に挑むという目的。しかし、メインキャラそれぞれが抱える事情や、神剣の選定手順はどれも、一筋縄ではいかないものばかり。
この物語はどのキャラも個性が尖っていて、魅力的です。格好いいところ、可愛いところ、駄目なところ。過去と向き合い傷を乗り越えて、成長してゆく姿も。皆が巡る世界もそれぞれ個性的で、現代世界から始まり、中世っぽい世界、近未来風、神が治める世界、砂漠世界、などなど。
ストーリーを味わいたい方も、キャラを愛でたい方も、楽しく読める冒険モノ。随所で戦記モノの要素もあります。
長編ですが完結していますので、安心です。ぜひご一読ください。