攪亂

認知シャッフル睡眠法ってご存知ですか。カナダのリュック博士という方が考案した方法なんですけど、人間って布団に入るとあれやこれや考えちゃうじゃないですか。例えば人間関係のこととか勉強のこととか死後の世界とか。そういうのを考えてる時って脳は眠るどころかより覚醒しちゃうんですよ。そこでこの方法ではその思考を断ち切って、脳に寝てもいいよって教えてあげるんです。具体的には、10秒に1回とかのペースで適当な言葉をイメージするんです。これはハサミとかキャベツとかいったごく普通な言葉でいいんですけど、そうすると脳は小難しいことを考えることをやめて眠くなることができるんですよね。わたしも朝方まで寝れない日が続いた時にYouTubeにこの方法で寝るのを手伝ってくれる動画がいくつもあることを知って、めっちゃ救われました。本当にいつのまにか寝てるんです。あれだけベッドの上で何時間も苦戦してたのが馬鹿馬鹿しくなっちゃいます。

でも、気をつけてくださいね。1週間くらい前かな。その日は寝る前にNHKの宇宙がテーマの番組を観たせいか宇宙について考えちゃって、それでそのスケールのデカさにビビって眠れなくなっちゃったので、YouTubeでこの睡眠法の手伝いをしてくれる動画を流しつつ眠ろうとしたんですね。その日は新しい動画を開拓したい気分で、そうして何分か探索してるうちに、すごい好みの動画を見つけたんです。それもまだ0回再生で、まさに前人未到って感じで謎に嬉しかったです。その動画はいわゆるイケボの男性が10秒に1回のペースでどうでもいい単語を言ってくれて、その言われたのをイメージする感じので、それを再生して枕の側にスマホ置いて聴いてるうちに意識が遠のくのを感じたんです。これはもうそろそろ眠れるかなとか思いつつ、「けん玉」とか「パソコン」とかを言われるがままに脳内に浮かべてたんです。いよいよその人の声さえも遠のきかけてる時に、妙なことに気づいたんです。さっきから言ってる単語がおかしい。動画が始まってすぐの時は「犬」とか「パクチー」とか当たり障りのない単語だったのに、今や「てまつ」とか「あしきた」とか、なんかそんな感じで私の知らない単語を次々と読み上げてる。不審に思ったので画面を見てみると、そこにはさっきまでの清潔感のあるオトナな男性が夜空をバックに微笑んでるイラストはなくて、見たこともない漢字と図形で構成された魔法陣みたいな模様が表示されてました。シークバーを遡ってみると、ちょうど動画開始から30分の地点で画面が唐突に切り替わってることが分かって、それと同時に言葉も支離滅裂なものに変化してたんです。でわたしはあまりの気味悪さと異様さに目も覚めて、この気持ち悪い状況をどうにか他人に共有したくて画面をスクショしてとっ散らかった頭で文章打って、ツイッターに投稿したんですよ。そしたら10秒も間を空けずにDMが来て、なんだろと思って開いたら初期アイコンのアカウントからで、2文字だけ。














いた













いつになったらねれるんですかわたしもう

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