第8話 隷属②
一夜明け、すでに時刻は昼過ぎだろうか
十分に人が多くなった時間帯を狙って昨日と同じ店に行く
「いらっしゃいませ~」
昨日と同じ受付譲が忙しそうにそう言ってくる
「あ、昨日来られたお客様ですね!どれにするか決められましたか?」
ニコッと笑いながら俺にそう聞く
「まだちょっと迷っていまして。それとお聞きしたいことがあって」
俺が申し訳なさそうに聞くと受付嬢は何なりと!という雰囲気を出した
「この奴隷たちは主人に反抗したりしませんか?」
俺の質問に一瞬ぽかんと口を開ける受付嬢は、スッと表情を笑顔に変えて
「はい!主従契約を結んでいますので絶対に逆らいません!もし何らかの方法で契約を破ろうとすると首輪につけられた毒魔術が発動して死に至りますから」
ほー、なんて有能な魔術なんだ
それを俺も使えればあの村にいる耳付きを完璧に制御できるわけか
そう意識した途端に右手が紫色に輝き出した
もしやと思い、その右手を横にいるミャクナに向けて力を込めた
「きゃ!!」
可愛い悲鳴が店内に響いたとき、すでに彼女の首には奴隷たちと同じ紋章ができていた
直感的にこれが主従契約の魔術であるとわかった
「え?え?…」
受付嬢も困惑している
「なるほどこれが主従契約ですか。やっぱ今日は一人だけ買います」
「あ、ありがとうございます!て、店長~」
受付嬢がびくびくしながら店長を呼びに行く
結局一人だけ奴隷を購入した。もちろんミャクナの金で払わせた
契約したのはミャクナたちと似た獣の耳がついている種族だが、少しだけ形が違う
だが今はそんなことはどうでもいい
早速そいつの名前をイチにした
ミャクナもすでに俺の奴隷となった今、計画を進める時だろう
イチとミャクナには陽動を、本命の奴隷たちは俺が捕獲する
俺がここまで急ぐのは理由がある
もうすでにあの村の耳付き共が逃亡している可能性だ
あいつらに契約紋はないし、俺のやり方に不満を持った奴しかいないだろう
もうすでに村を出た瞬間にそれは察してた
だからあいつらはもう必要ない
今日手に入れる奴らこそ俺の造る真の理想郷の守護者なのだ
ミャクナはたまたま手に入れることができたが、こいつも俺に不満しかないだろう
始末しておくか?
いや、まだ今はいいか
今は奴隷たちを手に入れることが最も優先すべきことだ
そしてすべての準備が整った夜、ミャクナたちが街に火を放ったのだった
異世界に転生したので恐怖政治と監視社会を作ります 山田 @soviet
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