第43話 家電だよ


 そう、俺は信仰ポイントを使い、創造メニューで電化製品を作ることにしたのだ。

 電化製品でみんなの暮らしがよくなるなら、別にいいだろう?

 

 俺はこの力を、みんなのために使うと決めた。

 だから、もう一切容赦はしない。

 徹底的にこの能力をつかいつぶす。

 電化製品でもなんでも、作れるものはつくってしまおうということだ。


 まずはトイレをなんとかしたい。

 俺は創造メニューで、水洗トイレと洗面台を作り出した。

 そしてそれを俺の家に設置する。

 それから、各種水道設備を創造。

 水道管など配管はゴブリンの人手を借りる。


 俺の家でやり方を覚えさせ、これでばっちりだ。

 ゴブリンたちは水洗トイレの設置方法を完璧に理解した。

 あとは俺が水洗トイレ一式を創造でつくりまくる。

 そしてそれをゴブリンたちが各種家庭に設置。

 ユグドラシル王国は、水洗トイレを手に入れた。


「おお……! これは……すばらしい……さすがは文明の利器だ……」


 さっそくウォシュレットを使ってみて、俺は恍惚の表情を浮かべる。

 数百年ぶりにケツにウォシュレットを当てた。

 気持ちがいい……。

 今までの前時代的なトイレとはおさらばだぜ。


 ゴブリンたちにも使ってもらう。

 最初はみんな、おどろいていた。


「ふぁっ……!? な、なんだこれは……!? ケツに水が……!」

「ひゃいん……! なんですかこれぇ……!?」


 エルフよ……変な声を出すな……。


 だが、みんな慣れると、次第に使い方を理解していった。


「ふぉお……これ、快適ですね……」

「これはすごい。たしかにこれなら、清潔だ」


 やはり水洗トイレは評判なようだ。


 それから次に作ったのは冷蔵庫だ。

 やはり冷蔵庫がないと、食料の備蓄は難しいからな。

 幸い、このあたりは冬でもそれなりにあたたかいし、食料にも困らない。

 だけど、やっぱり冷蔵庫があると便利だ。


 これまで無駄になっていた肉を全部保存できる。

 冷蔵庫があれば新鮮なまま食べれるしな。

 川でとってきた魚なんかも、新鮮なまま保存できる。

 そして、冷蔵庫の登場に誰よりも喜んだのはラック商会の連中だ。

 ドウェインは冷蔵庫を見るや否や、それを欲しがった。


「なんですかこれは……! こんなすばらしいもの……! これがあれば……! 商人としては喉から手がでるほど欲しいです!」


 冷蔵庫があれば、魚などを長距離輸送できる。

 そしたら海から離れたところにも、新鮮な魚を輸送できる。

 これは商人にとってはとても重要なことだった。


「ぜひこれを、私に売ってください!」


 というので、もちろん俺は売ってやることにした。

 ラック商会に、いくつか小型から大型の冷蔵庫を提供した。

 ドウェインはたいそう喜んでいた。

 これがあれば、また商売をしてかなりもうけることができるそうだ。


 次に作ったのは、冷暖房設備だ。

 レルギアーノ大森林は、冬はそれなりに寒く、夏はそれなりにあつい。

 今まではアラクネーがつくってくれるセーターなどで暖を取っていたが、冷暖房があれば、凍える心配もなくなる。

 冷暖房設備を各家庭に設置した。


 それから、欠かせないのが洗濯機だ。

 今まで川で洗っていたものを、洗濯機があればかなり楽になる。

 これにはゴブリンの主婦のみなさんが大喜びだった。


 他にも、掃除機やコンロなど、生活に必要なものをいくつか取りそろえた。

 それらのうち、持ち運びができるものはラック商会で取り扱うことになった。

 さて、これでかなりうちの国も文明的になったな。

 もはや日本の暮らしとほぼ変わらないくらい、快適な暮らしができる。

 みんな、電化製品が使えるようになって、大喜びだった。


 電化製品を見せたとき、最初みんな不思議がって、怖がるかと思っていた。

 だけど、みんな電化製品をすぐに魔道具だと言って、すんなり受け入れていた。

 もともと魔法でなんでもできる世界だから、電化製品もすぐに受け入れてもらえたのだ。

 それは、よかったと思う。

 創造でつくりだした電化製品は、どれも魔力を原動力として動くものばかりだ。

 だからまあ、一種の魔道具といっても間違いじゃない。


 さてさて、これまで、生活を豊かにするための電化製品をいくつか創造してきた。

 だけど、電化製品といえばそれだけじゃない。

 まだまだ大事なものがあった。

 それは、娯楽ようの電化製品だ。


 まずは手始めに、テレビを創造してみることにした。

 テレビだけあっても、電波が通ってないからなぁ……。

 テレビが本当に映るのかどうか、心配だった。

 しかし、テレビのスイッチを入れてみると……。


「映ってる……!」


 なんと、そこには日本で流れているようなチャネルが、普通に映し出されたのだ。

 これ……いったいどこから電波きてるんだ……?

 いや、そもそも電化製品が魔力で動いているような不思議な状況だ。

 今更か。


 とにかく、テレビもなんの問題もなく動くことがわかった。

 これはいい。

 どうやら俺が転生したころの、俺の死んだころの時期のテレビ番組が映っているようだ。

 こっちの世界に転生して、唯一の心残りだったのが、あっちの世界の新作アニメが見れなくなることだった。

 だけど、これさえあれば、これからもアニメが見れるじゃないか!

 これは最高だ。

 異世界生活を満喫しながらも、現代のアニメも見られるなんて……。

 まさに天国じゃないか。

 さっそく録画機材も創造して、最新アニメを録画リストに入れておく。

 

 なら、と思い、俺はパソコンも創造してみることにした。

 パソコンのスペックも、かなり鮮明に想像する。

 俺は趣味で自作パソコンも作ってたから、パーツにもそこそこ詳しい。

 自分の理想のパーツ構成を想像して、創造する。

 すると、ゲーミングPCを創造することができた……!


「うおおおお! これさえあれば、異世界でも引きこもれる……!」


 やはり引きこもりにはゲーミングPCは必須アイテムだ。

 まあ、せっかくの異世界だから引きこもる気はないけども……。

 だけど、これは娯楽革命だ。


 俺は、各家庭に一台ずつ、テレビとパソコンを創造した。


 どうやらテレビと同じく、パソコンもインターネットにつながるらしい。

 いったいどういう仕組みなんだ……。

 俺が、テレビやパソコンを、そういう機能のものとして創造したから、可能なのだろうか。

 信仰ポイントも法外なほど使用したし、まあこのくらいの機能は可能なのか……?

 それにしても、世界樹の能力にはほんとうに底がないな。

 どれほどまで可能なんだ……。


 さすがに、「なんでも斬れる剣」とかはまだ作れなさそうだ。

 電化製品などは、俺が実際に見たことのあるものだからなのだろうか。


 それと、どうやら創造でつくれるものの複雑さには、世界樹レベルも関係しているようだ。

 俺のステータスには、世界樹レベルというものがある。

 これは最初1だったが、信仰ポイントが増えるにつれ、レベルアップしていっていた。

 今では世界樹レベルが14になっている。

 おそらくレベル1のころは、いくら信仰ポイントをつかっても、電化製品のような複雑なものはつくれなかっただろう。

 だけど、レベル14にまでなったことで、電化製品も創造でつくれるようになったようだ。

 もしかしたら、レベルをもっと上げれば、「なんでも斬れる剣」のようなさらに規格外のものも作れるようになるのかもしれない。

 まだ創造で生物を作ることはできないが、もしかしたらそれも可能になるのかもしれない。

 もし人間なんかをゼロから創造することができたら……。

 そう思うと、少し恐ろしくもある。


 さて、テレビとパソコンは、国民たちから大好評だった。

 みんな、今までみたこともない娯楽に夢中になっていた。

 まあ、そりゃあそうか。

 今まで大した娯楽もなかったところに、人類が生み出した史上最強の娯楽を与えたら、こうなるか。

 国民たちはしばらくのあいだ、猿のように娯楽に夢中になった。


 いろんなテレビシリーズが流行った。

 インターネットにつながるせいで、動画サイトなんかも見放題だ。

 それに俺がクレジットカードを創造でつくったら、それもなんか使えた。

 なので、動画視聴サイトに課金もできる。

 まあさすがに通販サイトとかで物を買っても、住所をこっちのやつを入れても届かなかった。そりゃあそうか。

 けど、動画サイトやゲームサイトは使える。

 国民たちは、漫画やゲーム、アニメ、映画に夢中になった。


 一瞬で国民たちがオタク化していった。

 うーん、このままではみんな引きこもりになってしまう……。

 さすがにいきなりインターネットを与えたのはまずかったか……。


 そうそう、なぜかみんな日本語はすんなり理解していた。

 ていうか、そもそも俺がいつも話しているもの日本語だしな。

 だけど、こっちの文字は日本語じゃないんだけどな。

 なぜか俺はこっちの文字もすらすらと読むことができた。

 なぜだろうか。

 どうやら言語にはなにか特殊な魔法でもかかっているのか、日本語とこっちの言語とはシームレスに通訳いらずで通じるみたいだ。


 これらの娯楽は、とりあえずはユグドラシル王国の中だけのものとすることにした。

 観光客たちにはまあ、映画館とかゲームセンターを作って、そこで遊んでもらうことにした。

 さすがに、テレビやパソコンを街の外に流通させるのは危険だと判断した。

 インターネットは俺の目のとどく範囲で楽しんでもらうことにしよう。


 巨大スクリーンを創造して、映画館を作った。

 映画館は観光客たちにも大人気になった。

 それから、アーケードゲームを創造して、ゲームセンターを作った。

 ゲームセンターはカジノの横に併設した。

 どちらも大人気の施設となった。


 この国も、だいぶ発展してきたように思う。

 ますます、これからが楽しみだ。

 


=============

【あとがき】


新連載をはじめました!

ぜひこちらも読んでもらえると嬉しいです!



https://kakuyomu.jp/works/16817330659712666033

暴露屋ユラン~底辺配信者、スキル【万能鑑定】に目覚めたので暴露系ダンチューバーとして転生する~俺を馬鹿にしてきたやつらの黒歴史暴いて社会的に殺してざまぁする

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