第26話 大規模農場だよ


 エルフたちも増えて、この街もかなりの人口になってきた。

 しかもエルフたちは、肉を決して口にしない。

 だが野菜の備蓄も、そろそろなくなりそうだぞ。

 そこでエルが提案してきた。


「大規模農場を作ってはいかがですか?」

「大規模農場? そんなもの、どうやって作るんだ?」


 そりゃあ俺も作りたいが、そんなものが生えてくるわけもない。


「信仰ポイントですよ。前の世界樹様のときも、そうやって食い扶持を確保していました」

「なるほど、信仰ポイントか。なんでも使えるんだな。便利だ」


 そういえば、まだ信仰ポイントが余っていたな。

 エルフたちの話によると、信仰ポイントを使えば、たいていのことはできてしまうらしい。

 まあ、屋敷を出したりできるくらいだから、農場が作れてもおかしくはないか。

 俺はステータスを開き、メニューを開く。

 


===============

メニュー


 建築

 購入

 売却

 創造

 設置

===============



 その中から、設置の項目をタップ。

 設置物一覧が出てきた。

 現在設置可能なものが、ずらっと並んでいる。

 そしてその中から、大規模農場を選択する。

 育てる作物も選べるようだ。

 まるでシ〇シティのような、経営系のゲームだな。

 なんだか楽しくなってきた。


 街の周辺に、大規模農場を設置していく。

 育てる作物は、トマト、にんじん、じゃがいもと、それぞれに様々なものを設置。

 よし、これでしばらくすれば、大量の野菜が手に入るぞ。


 大規模農場を設置するのに、信仰ポイントを2000ほど使った。

 これで残りは2000だ。


「だけど、すぐには収穫できないもんなぁ……」

「収穫をはやめることもできますよ」

「ほんとか……!」

 

 エルフに言われたとおりに、今度は、創造のメニューを選ぶ。

 創造メニューは、自分が想像したものを自由に創造できるメニューのようだ。

 そして一度創造したものは、購入メニューから再び購入可能らしい。

 使用するポイントは500ポイントだ。

 これで、よしっと。

 成長促進剤を創造すると、俺の手元に、なにやら薬品のようなものが現れた。


「おお……!?」

「あとはそれを畑にまいてください」

「よし」


 俺は成長促進剤を畑にまいた。

 これで、あとは数週間で収穫できるようになるようだ。

 これだけの大規模農場があれば、しばらく野菜には困らないな。

 モッコロとの貿易で、野菜も売ろう。


「それにしても、この信仰ポイントってのはなんでもできるんだな」

「ええ、それが世界樹様の力ですから」

「そういうものなのか」


 どうやら世界樹というのは、この世界で万能の存在らしい。

 最初はただの苗木に転生してしまったと、絶望していた俺だったが、まさか世界樹だったとはな。

 そういえば、最初に、俺は女神に「刺されても死なないような最強の存在になりたい」と願ったんだったっけな。

 そのおかげで、俺はこうして世界樹に転生したわけか。

 なるほど、この力、面白そうだ。

 まだまだ試してみたいことはある。

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