第25話 ゴーレムだよ


「この街の防衛は、甘すぎます」

「はぁ。そうなのか?」


 エルフのエラからの進言。

 だが、いまいちピンとこない。

 この村には結構な戦力がいる。

 モッコロのとこから派遣されてきたやつらも、かなり腕のたつ連中だ。

 それに、ワーウルフやゴブリンの戦闘能力もばかにならない。

 エルフは魔法だって使えるわけだし。

 それになにより、オークたちがいる。

 エラはなにを心配しているんだ?


「今までとは違うんですよ? セカイ様が正式にこの世界の世界樹となったことで、この街はさらに狙われるようになるでしょう」

「え……そ、そうなのか……」

「ええ、やってくるのがいい人ばかりとは限りません。以前の世界樹様もそうでした。さまざまな連中が、世界樹様の力を利用しようとやってきます。そんな連中からみをまもるためにも、もっと防衛を強化しなければなりません」

「どうすればいい?」

「ゴーレムをつくりましょう」

「ゴーレム……!?」


 ゴーレムってのは、岩でできた怪物だ。

 だがその多くは、今は伝説の中だけのものだ。

 せいぜいが古代遺跡にたまたま数体残っていたりするくらいで、新しくゴーレムを作ったりする製法は知られていない。

 たしかにゴーレムがいれば百人力だが、そんなもの、どうやって作るっていうんだ。


「ゴーレムの作り方、知ってるのか……?」

「もちろんです。エルフに古来より伝わる、ゴーレムの作り方があります」

「おお……! それはすごい……! さっそく作ろう……!」


 ということで、さっそく街を上げて、ゴーレムの素材を集めることになった。

 まずはゴーレムに魂を吹き込む前に、その形を作る必要があるらしい。

 土台となる、大きな岩が必要なのだとか。

 俺たちは総出で、森の中じゅうを、岩を探し回った。

 いくつか使えそうな岩がみつかったので、オークたちに運んでもらう。


 そして岩を人型に組み上げたら、それらを粘土で接着。

 あとは、岩に魔法陣を刻んでいくらしい。

 エルフたちは岩に魔法陣を施していった。

 それから最後に、俺の素材もいるらしい。

 世界樹の実が必要なのだそうだ。

 世界樹の実を、魔法陣の中央に置く。


 そして、エルフたちはなにやら呪文を唱えた。


「――宿れ、命。ゴーレム、起動!」


 すると、岩の塊が、ゴゴゴゴゴゴと音をたて、立ち上がった!

 すごい、これで戦車並みの戦力だぞ。

 ゴーレムさえいれば、この村は安泰だ。


「すごい迫力だなぁ……こんな大きな岩が動くのか」

「これなら安心ですね」

「さっそく狩りに同行させてみよう」


 さっそく、ワーウルフたちの狩りに、ゴーレムを同行させることにした。

 ゴーレムはかなりの戦力になったみたいだった。

 俺たちはそれから、3体ほどのゴーレムを作り上げた。

 ゴーレムは正確には、生物じゃない。

 だから疲れ知らずだ。

 文句も言わないし、夜もゴーレムたちがちゃんと街を見張ってくれている。

 俺たちの街はさらに安全になった!

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