第9話 新人社員

やあ、みんな!ゆかりんだよ!

今は訳あって山田ちゃんと一緒に正座をしてなんか怒られそうな雰囲気だよ!


渡邉はため息を吐いて話し始める。

「別に人命救助を責めてる訳じゃないんですよ。ただ、何も知らないただの一般人をこんなイレギュラーな形でこっちの世界に巻き込むべきではなかったことを反省してほしいんです」

「はい…あのそのことに関してはやっちまったなと…」

「やっちまったぁ?」

「やってしまったなと」


これほどまでに奇麗な成人女性の正座を見たことがあっただろうか。いや、ない。


「とにかく何で山田さんが一般人と関わっているのかは理解出来ました。それで、一体全体どういうことがあってこんな状況になったんです?」

「それについては私の方から」

正座の姿勢のまま今度は私の方から弁明を始めさせていただく。


「あのー、事の発端はですね?私の勘違いから始まったんですよ」

「ほう」

「そこにウイスキーが入ったグラスがあるじゃないですか」

「ええ」

「それを麦茶と勘違いして山田さんにあげちゃったらグデングデンに酔っちゃって、なんやかんやあってああなったと言いますか」


はぁー、と深い溜息を吐く渡邉。

「山田さんの酒癖が悪いのは前から知ってたので、それならこの状況も納得できなくもないですね」

「うん…ごめんね?渡辺」

「今更ですよ。先輩の酒癖の悪さにはもう慣れたんで」


渡邉はこちらを振り返る。

「さて、不可抗力ではありましたが、国家機密レベルの情報を知られたのでこのままには出来ません。なんとなくそんな感じがあったのは分かっていたとは思いますけど」

「ええ。なんとなくそんな感じはありましたよ。でも、どうするんです?記憶消去アイテムとかそんな2次元展開ご都合主義的アイテムかなんかでもあるとです?」

「いえいえ。そんな2次元展開義都合主義的アイテムなんか無いので、もっと物理的な方法で解決します」


渡邉はニッコリして私の手を取る。

「それじゃあ行きましょうか。僕たちの職場に。歓迎しますよ?」


私の再就職先が決まったみたいです。

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Revive shi @shi-nandayo

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