第7話 真夜中の訪問者

「何をしとるだぁー!」

この深夜でギリギリ出せる小声の最大音量でツッコミを入れた。

「こいつといい何でどいつもこいつも窓から入りたがるとね!ええ?」


ん?窓?

oh,何でドアから入らないか?

何かおかしくないか?


もう混乱してるかも定かでない頭の中の脳みそをフル回転させて現状の理解に努める。片足には未だ山田を引っ付けたまま。


カチャ


割れた窓ガラスを踏みながら誰かが家の中に入ってくる。

さっきの男だ。私の家のベルを鳴らしたアイツだ。

その男の顔は至って平静を装っており、窓が割れたことに対する罪悪感も勝手に人の家に入ることの緊張感もはたまたそれとは正反対の感情も一切が見えてこない。


「あ」

男が口を開く。


「あの」

口から言葉が発せられるにつれて男はこちらににじり寄ってくる。


「私はこの子だけは守るんだ…!」

私は無意識のうちに片足にしがみついていた山田をギュッと抱きしめて男に抵抗する意志を見せた。


「あの、その、すみませんでした」

男の口から発せられた言葉は謝罪であった。


「は?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る