狂人は狂っている(2)
今朝、起きる様は普通に豊かで、彼の如く大の字を重宝し、一先ずの触覚に上書きされないをやはり嘆いてみた。これを続きものと見なしたのが運の尽きで、少しも変わらぬ触覚が変わっていないことを一々に言ってしまうことのナンセンスに気付く。
つまらぬ朝は普通に美しく、それは願ってもないことなので、要するに意味が無い。
朝の二モーラの塗り絵を任されてより数百年が経って、未だ登校中の発作を楽しみとして、彼女とぶつかることの出来ただろう。ドン。
「いよいよ陳腐も収まらないから手短に。これはすっかり覚めてから記述された夢なので運の良いこと。明晰夢ではないよ。明晰夢だってデカダンスの後の祭りだし。」
発話がうるさくば目覚めの最中。そうでなくば聞き取り問題。うるさい情景も見ている限りに静まって、夢の遊園地も所詮、歩き回っている限りにつまらぬこの身がつまらなくしてしまう。所詮、朝に同じ。空がピンクならそのとおり、はいおしまい。空がピンクだったなあ…は優秀賞。私はこれ。
「いたた…学校へ行こう。」
すっかり血みどろになってドアを開閉させると、車と呼ぶべき物は付いていなかった。から、きっと押して開けたのだろう。私はそうした代物を知らないだけ。同時にタイヤも私を知らない。いや、単に引き戸と言うのが恥ずかしかっただけ。
教室を開閉すると、いつでもいるべき学友達は学の字の寛容において適当に充てられて、未だ顔を知っているというだけ。名前も希望する限りにおいて通知されるが、それはさすがにみっともないので未だ何もしない。
だからさっさと彼女と抜け出そうとしたその内にはチャイムが鳴ったが、これを知っていた。
驚くべきことにナントカ委員会に入っていて、風紀委員として見分けられる。今日自分の身分を初めて知って、彼女と二人で写真撮影の義務が起きた。らしい。
困難、発狂。仕方の分からぬ。あるいは存在しない。全身を写さなくてはならないが全身が見当たらない。有るのは手と、ドアノブ。足ならばさっき知ったが、これでは足りないことを隠しておけなかった。何によって全身を見るべきか。周囲の絶縁体がほくそ笑んで階段へと誘う、時間間際。彼女が消える。
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