狂人は狂っている(1)
寝台の身長を測るとどうにも辻褄が合わないのは、しっかりと誤解であるのもこれは何の為かと問われれば、病院のアナウンスがそう告げるからである。現に夢から覚めた身分であり、その死体について何か言った気のするならひょっとすると、誤りは既に見過ごされていて、しかももう一度。
「これは実験である。私は私がそこに寝て、いかであるかを見知った気のするが、それを言ってはまずいらしく、代わりに君に寝て貰いたくてここへ呼んだのだ。」銀色が枕に投じられる。確かに小さい。
「本当に、私がこの長方形のこことして嘘を付いたならば、嘘を付いたことを見届けて、尚且つ嘘を見逃してくれるとは本当でしょうか。」
「ああ、嘘は言うまでもなくそこに有るとは、私にとっての話であるが、君にとっては別に有ったとて知らぬのだろう?」
「ほら、あの空も色こそ大事で他は知らない。あの星は知っても良いが、人事。」
「でも君は、」と言い掛けてみすぼらしくなった手先の器用さに呆れ果て、ベルを鳴らせば彼女はそこに立つという。
咄嗟に掴んだカーブミラーがオレンジであったのは、何かきっと安心すべき根拠であって、道すがらの可哀想よりずっと気を紛らわせてくれたのであった。は即ち嘘である。」
第二話はカーブミラーに備え付けられたラジオが告げる。
「「やっぱりラジオにカーブミラーなんて陳腐だからやめてしまおうよ。」
「良いから、未だ分かった気のする病についてもう一度お願いよ。」
「もう言うことはこれくらい。病はやまいと読ませたい。これくらい。」
分かった。余程メタ的で、自転車がすっかりそのためにしか登場しないのを疑わないくらいでなくては完成されない。そもそもこれは星の病でなくて夢の病であった。専ら夢でない者が呼んでいるところの夢について病んでいるのであった。やっぱり可哀想なのは私であった。それと自転車。自転車は、直してくれた。これは治療装置で、何よりロマンチックな代物であるから。
「セリフの音量を任せられたというのは本当、嬉くて仕方が無い。」としてみる内に、みるみる空は不満足な水色に。というより仕方が無いので、紫を隠し持った白に。
「強がらなくて良い。こっちの方が余程満足であるから。君に頼んで届けさせるよ。」
彼女は走り出し、違う。転がり出し、隠されたつもりも無いのに自ら積極的に高周波を響かせながら、いつかは夕焼けの逆光となるべき差異において立ちすくむ朝。
もう考える余地は無いので、そのとおり行けば完治する。
後一歩。
踏み外す。
いつよりか、決めていた。
若干詩的にもたついて、ふらついて、ぐらつく。 勿体ぶって書いたからには、その思うとおりに目眩がある。血管の云々と言ってつまらないけれども、これによっては確かに、夜の心臓のときめきと違っている。明確な差異。
もっと大胆な差異。別の夜によっては終了する。
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