第25話
色々と考えて、これから先、美怜の監視の中どうすごそうかと悶々としていた。
もやもやした気持ちのなか俺は帰路を辿ろうと思い、正面玄関にむかい、靴を脱ぎ変え、外へでる。
俺はあの【デスヌード】とかいう団体に勧誘されたきっかけをつくったあの忌まわしき自転車を獲りに行く。
あのあと【ニューノーマル】のスタッフ?がどうやら回収をしてくれていたみたいで、傷もなく帰ってきていた。
考えてみれば親から譲って貰ったものとしてもここまでど派手な自転車を乗る高校生も高校生か。
確かに最初、乗って着たときはかなり笑われてたっけ。
俺は過去を振り替えながら、自転車置き場に向かい、自分の自転車をとる。
俺は自転車をとり、跨がろうとした。
「わっ、珍しい」
そんな声が聞こえたので後ろをむいた。
そこに立っていたのはおかっぱに近いような髪型をした女の子がたっていた。
クラスには必ずひとりいそうでなおかつ秀才とよべそうなほど物静かに勉強しているイメージの女の子だった。
女の子とふり向き、目が思わずあってしまう。「あっ、あっ、ご、ごめんなさい」
女の子は頭を下げてから頭を上げると髪の毛を直した。
「えっ、えっと……。何が、珍しいの?」
急にそういう事を言われたのでわからなかった。
「あっ、急に言われると愕きますよね。貴方が乗っている自転車」
女の子は俺が跨がっている自転車をみて言った。
「ああ、これね」
俺は自分の跨がっている自転車を一瞥する。
「親父が暮れたんだ。 なんだかどこかの野球チームのマークだと」
俺は見知らぬ女の子に言った。
女の子はにが笑いを浮かべながら、口を開いた。
「私も、野球が好きなんです」
「そ、そうなの?」
どこからどう見ても運動部って感じじゃないけどな・・・・・・。
俺の変な視線を感じたのか見知らぬ生徒はにが笑いを浮かべて、両手を前に出して言った。「観戦するほうですよ。 さすがにやることは苦手です」
「なるほどね。 まさか、君みたいな人が
なんて……、あはは」
「そ、そうですよね……あははは」
お互いににが笑いを浮かべた。
「急に声をかけてごめんなさい。お急ぎでしたよね」
「いや、別に帰るだけだから。君こそ、こんな所で何を?」
今の時間、ほとんど生徒は帰ってしまうからこんな場所にいるのはめずらしいと思うが。
「これです」
そう言って、彼女が俺に見せてきたのはほうきとちりとりだった。
言っている意味が分からなかった俺はただ目を丸くさせるだけ。
「お掃除です。 生徒会の活動で、周に何回か、交代して校内の施設を掃除する決まりがあるんです」
ちょっと大変ですと彼女は笑う。
「そうなんだ。 手伝おうか?」
「そ、そんな……」
見知らぬ女の子はわたわたと手を両手を前でふり、だいじょうぶと言った。
「そっか。まぁ、頑張ってね」
「ありがとうございます」
女の子は頭を下げた。
「じゃあ、俺、いくわ」
俺は自転車のペダルをこごうとした。
「あっ、お名前を教えていただけませんか?」
「へっ?」
ここ最近、何回「へ?」って言っただろうか。俺は振りかえり、女子生徒のほうをみる。
「あっ、嫌だったらいいんですけど、お話しさせて貰ったし、廊下ですれ違ったら挨拶くらいはできるじゃないですか」
女の子はどこか照れくさそうに笑いながら言った。
「そ、そうだね。えっと……、俺の名前は斎藤照間」
「斎藤照間さんですね。 私は渡良瀬恭子といいます」
ペコリと頭を下げた。
俺もつられて頭を下げる。
「またお会いしたときは」
そういって彼女はニコリと愛想笑いを浮かべる。
「そうだね」
俺は短くそういうと自転車のペダルをこぎ始めた。
「じゃあ、また会えたら」
「はい」
彼女の顔を見ずに俺は自転車をこぎ始めた。
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