第19話
「対処は考えてある。 美怜」
大佐は美怜の名前を呼ぶと、此方をむいていた美怜は、驚いたような表情をする。
「な、何、大佐!?」
美怜は、急に振られ驚き、動揺を隠さずに言った。
「指令を命じる」
大佐は低い声で、美怜にむかって言った。
彼女は大佐の言葉に何かを感じ取ったのか、
すぐに、彼にむかい、口を開いた。
「大佐。まさか、私に、コイツの監視をしろっていうことじゃないでしょう?」
「そのまさかだ。 君には彼を監視してもらい、変態【メタモルフォーシス】が起きそうなタイミングに彼を止めるという事をして欲しい」
大佐は淡々と命令を告げた。
「ちょ、ちょっと、待ってよ、大佐。私にそんなことできると思う?」
美怜は眉間に皺をよせたまま、大佐にむかい言った。
「こんなへんちくりんで、すぐ襲ってきそうな奴のおもりなんてできる分けないじゃない」
美怜は俺の方を指差しながら、言った。
すぐに襲ってくるとは失礼な。
俺を見境がない何かの野獣と勘違いしているのだろうか?
俺は抗議の意を込めて、美怜にむかい厳しい視線をむける。
美怜はそれに気が付いたのか何よと口ではいわないものの、此方にむかい、メンチを切る。「私よりも適任がいるじゃない」
美怜は横にいる葛道に向かい、指を指した。
「彩葉だったら、すぐに対応できるんじゃないの?」
美怜は横でスマホをいじる葛道に向かい言った。
それに対し、葛道はスマホから視線をはなすことなく口を開いた。
「ムリ。私は勉強と、他の任務で忙しいから」
葛道はまるで全く興味がないと言う感じで、美怜の提案を斬り捨てた。
「何、それ。私だって、色々、あるのに」
「色々って?」
葛道がスマホから目を離すことなく質問すると美怜は反論するように言った。
「私だって試験や任務があるのよ。大佐、ねぇ、私も他の任務があるでしょう?」
美怜は大佐の方に向き直り、自慢げに、彼を味方につけようとしていた。
意外と、ずるい奴なのかと俺は見ていておもった。
「いや、美怜、君の任務は他にはない。事務仕事は葛道に任せている。 君には彼の観察を命じる」
非情にも大佐は味方に付けようとした美怜を一刀両断で、任務に付けるようした。
美怜は悲しそうな表情をしながら、肩をがっくりとおとす。
そんな彼女に、とどめを刺すように隣のスマホをいじくっていた葛道は言った。
「だって。残念だね」
葛道は興味なさそうに言うと、また集中してスマホに向き直り始めた。
とどめを刺された美怜はプルプルと身体を震わせる。
新種のスライムかなと俺は思いながら彼女の動向を見ていた。
美怜はカッと目を見開き、叫んだ。
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