第16話

「このふたりだけではない。 他にも多数いる。世界各地で確認され、各政府によって存在を黙殺されてきた」

軍人さんはファイルを前のページに戻るように捲る。

「しかし、我々、【ニューノーマル】は一番最初の変態が誰だか知っている」

「それがその……、【ネイキッド・タイガー】?」

俺がその言葉を口にすると、目の前の軍人さん、および、後ろの二人が苦い顔をする。

特に美怜という女の子は俺を睨んでいるんじゃないかと思うほど顔が歪んでいた。

「そうだ。 その【ネイキッド・タイガー】が一番最初に確認された変態だ。彼が一番最初の変態【メタモルフォーシス】をした人間になる」

捲られ、開かれたページには【ネイキッド・タイガー】にまつわることが書かれていた。

しかし、多言語で書かれているため、内容が深く知ることができない。

そこから読み取れたのは彼が股間に葉っぱ一枚だけ付けていて、皮膚が虎のように黄色く縞模様だということ。

「彼はもともと、軍人で特殊部隊の人間だった」

でた、経歴おきまりのパターン。

「そこまでならよかった。彼はある任務で東南アジアにいた。そのとき彼は敵に捕まり捕虜になった」

どこか悲しいような表情をする眼帯の軍人さん。

それを知ってかしらずか軍人さんは続ける。

「彼は命からがら、敵の基地から逃げだした。そのとき、彼は裸だったそうだ。敵にはいろいろと辱めを受けたとのことだが、そのとき、彼はジャングルに裸で放り出された。それが影響か彼は、目覚めた」

軍人さんは【ネイキッド・タイガー】の写真をたたきながら、俺を見る。

「そして彼は救助されたが、組織から姿をけした。 それから数年後、彼は変態の王となり、世界各地でのテロを行い始めた」

俺は写真をみて、このもう布さえも纏っていない状態でどうやってテロなどおこすのだろうか。

俺は疑問に思いながらも軍人さんの話を聞き続ける。

「彼はテロを続ける宗教組織をつぶし、その後、各地にいた変態【メタモルフォーシス】を厚め、【デスヌード】という集団を作り始めた」

そうか、あの平田という不審者が言っていた単語のことだったのか。

「君も、平田と接触し【デスヌード】の名前を聞いただろう。 平田はこの国の人間だが【ネイキッド・タイガー】の信仰者でナンバー2だ」

軍人さんはページを捲る。

そこには俺が出会った平田という人物の写真が載せられていた。

一見すると有名なバレリーナのように舞っているが、実際は少しお腹がでたおじさんが特殊部隊の人間相手と戦っている写真だった。

やはり、止まって見てみるとかなり、違和感があるし、というかミスマッチすぎて脳が処理するのが大変な感じ。

おれは必死で脳内で情報を整理しつつ、口を開いた。

「その【ネイキッド・タイガー】については

分かりましたけど、あなた方は一体、何者なんです? 後ろの美怜と呼ばれた女の子もフライパンもって、ウィンブルドンにでるテニス選手のように戦ってましたけど」

「テニス選手ってなんのこと?」

美怜と呼ばれた女の子はメンチを切りながら、俺に近づこうとする。

「美怜、下がれ」

軍人さんに静かに制されると眉間にかなりの皺をよせながら、その場に止まる。

「彼女たちも変態【メタモルフォーシス】している」

俺はチラリと後の二人の女子高生をみる。

まだ俺に銃口をむけた女の子はスマホに夢中だし、美怜は俺にむかい、メンチを切り続ける。

いや、メンチするのやめてくれないかな、軍人さんの話を聞くのに集中できない。

などと思いながら、言う度胸もないため、口は閉じたままにする。

「二人とも私の部下であり、ここの組織の一員だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る