第14話

目の前に差し出されたファイルに写っていたのは、英語で書かれた新聞記事の切れ端だった。

「これは……?」

「これは君が知りたがっていることの……、始まりと言っても良いかもしれない」

「どういうことだ……?」

俺は思わず、小さい声で本音が出てきてしまった。

一応、目の前におかれたファイルに添付された、新聞紙に目をむける。

それにしても今の時代に紙かよ。

そう思いながら、俺は新聞紙の内容を目で見てみた。

そこには大きく、何かよくわからないことが書かれていた。

正直、なんて書かれているのかわからない。

けれど一つだけ分かることがあった。

新聞のいちばん見出しの写真を見て、俺は目を見開いた。

そこには裸で、葉っぱ一枚で股間を隠した筋肉むきむきの大男が瓦礫の山に立っている写真だった。

そしてその男の身体は虎柄の縞模様になっていた。

「君も、目にしただろう?」

軍人さんは静かに言った。

「見覚えがあるはずだ。 この男の姿」

軍人さんはとんとんと新聞紙の写真の上の部分を叩く。

「君も接触したんだろう? 【ネイキッド・タイガー】に」

俺は思わず顔を上げた。

「たしかに、後ろにいるあの女の子達に会った後、目撃しましたけど、何なんです? 本当に……。俺だって分からないんです」

俺はこの写真の男、【ネイキッド・タイガー】が何者かさえも知らない。

ただ現状分かることとすれば、彼がどう見ても変態ということだけだ。

「そうか……」

軍人さんは、そう言うと、目の前に広げたファイルを閉じた。

「ここから先はトップシークレットな話になる。いつもの日常には帰れないがいいのか」

軍人さんはまるで脅しをかけるかのように、低い声音で言った。

「もう関わってしまったら抜け出せないのが物語のセオリーですよね」

俺は、軍人さんと美怜のと.付箋文と呼ばれた女の子を見比べて言った。

軍人さんは静かに口を閉じるともう一度開き言った。

「残念だが、これは物語ではない。 だが、彼らに関わってしまったら抜け出せることはできないのは確かだ。いいだろう」

軍人さんは、ファイルをもう一度、開くと、俺の目の前に出し、指をさした。

そこには人文字、【変態】と書かれていた。

俺は文字を一度、見て、もう一度顔をあげて軍人さんを見る。

「この【変態】という文字が一体、なんなんです?」

「この上を見てみたまえ」

軍人さんは無表情でもう一度、指さした。

俺は軍人さんが指さした場所に視線を移した。そこにはまた英語で何か書かれていた。

「め、メタ…ふぉ、フォー?」

「【メタフォーシス】だ」

どういう意味だ?

それにイントネーションめちゃくちゃいい。

軍人さんの本場の発音に感心していると彼は続ける。

「【変態】というのは生物が身体の形を変えたりする事も一つある。」

「ということは後者ですか?」

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