第11話

「あっ……」

ドアを開けて立っていたのは先ほど目の前で戦闘を続けていた、美怜と呼ばれた金髪の女の子だった。

美怜と呼ばれた女の子は手にコップを持ち、此方に歩いてきた。

スタスタと机に近づき、軍服の男性と俺のあいだにくるように立つ。

そして手にしたコップを俺の目の前に、勢いよく、叩きつけるようにおいた。

中身が、勢いよくこぼれたが、其れよりも突然のことで驚いてしまった。

美怜と呼ばれた女の子は俺を睨むような目つきで、ジッとみる。

瞳の虹彩が青色で、鼻だちがとおり、本当に作り物の世界から出てきたような感じで、それが相まって、余計にとげとげした感じがゾクゾク…、違う意味で寒気を憶えそう。

俺は彼女を見詰めながらゴクリと唾を飲み込む。

美怜と呼ばれた女の子はふんと言った感じで鼻を鳴らしながら、そっぽを向くと、ダンディな軍人さんの斜め後ろに立つ。

これじゃあ、恐い刑事だけじゃないか。

優しい刑事さんは登場しないらしい。

兎に角、俺は恐い二人の視線というものの集中砲火を浴び、どう切り出せばいいのか迷うに迷う。

そんな風に俺がまごついていると、美怜と呼ばれた女の子が口火を切った。

「せっかく私が持ってきたんだから飲みなさいよ」

美怜と呼ばれた女の子は怒ったような口調で言った。

いつぞやのツンデレヒロインかよと思うようなセリフだが状況が状況なだけになんだか、変な感じが為てしまう。

俺もなんとなく彼女の態度にイラつきはするが、顔には出さないでおく。

「じゃ、じゃあ、頂きます……」

飲めと言われたからには、飲まないわけにはいかんが、俺はコップを手に取り、思わず中をのぞき込んでしまった。

ただコップには透明な液体が入っているだけ。俺の雰囲気を察したのか、女の子は再度、口を開いた。

「疑り深いのね。 別に変な物はいれてないわよ」

美怜と呼ばれた女の子は腕組みをしながら、首を横に振った。

「…………」

俺は再度、コップを持ちながら中をのぞき込んでみる。

正直、恐いようではあるが、先ほどから何も飲んでいないのでかなり喉が渇いている。

それにその生理現象には敵うはずもなく、俺はコップに入っていた水を一気に飲み干した

「はぁ・・・・・・」

緊張でかなり喉が渇いていたのか、喉が潤い、とても身体が喜んでいるような感じがし、溜息のような声が漏れた。

コップを置き、目の前の二人に問いかけた。

「まず質問したいんですけど俺はなんで連れてこられたんです?」

俺が質問すると眼帯の渋い隻眼の軍人さんは口を開いた。

「その前に我々の質問に答えて貰おう」

問答無用という形だ。

「じゃあ、黙秘権を……」

俺がぱっと思いついた事を口にすると、美怜と呼ばれた女の子が思いっきり目の前の机をバンとい勢いよく叩いた。

「っどわ」

俺は心臓が止まるかと思うほどで、目の前の美怜と呼ばれた女の子は俺を再度睨み続ける。今度こそはと俺も負けじという怖い顔で睨めっこをする。

さらに彼女は不機嫌になり、首を斜めに傾けながら、睨む。

なんだかコメディに出てくる不良のよう。

そう思ったが、俺はそんなことは口に出さず、目の前の女の子にむかって睨み続ける。

すると横から、軍人さんが口を開いた。

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