第10話
「では君の見た物を話して貰おうか」
目の前の眼帯の渋い軍服を着た外国人の男性は言った。
ここは見知らぬ取調室。
取調室と聞いて警察を思いうかべる人は多いと思う。
けれどここは残念ながら警察という組織ではなく、【ニューノーマル】という見も知らぬ、聞いたこともない組織の取調室だった。
完全に、机と灰色の壁。
つーか、古いテンプレの刑事ドラマのような風景だな。
そんなことは考えてはいたが、正直、この状況になれることで必死だった。
まず混乱する頭を冷やさないと俺は何がどう起きているのか説明できない。
第一にあんなレオタードをきたおっさんに絡まれた後に、フライパンでそのオッサンと戦う女子校生に巻きこまれた。
二人の戦いが終わった後に、俺はすぐその金髪女子校生と銃を突きつけてきた女子校生に黒い布を頭から被せられ、分けがわからないまま、連れてこられたのがこの場所だった。
これは拉致ですよねと言う暇も無く、つれて来られ、布をとったら、はい、取調室~。
意味分かんねぇYO!
なんて自分を落ち着かせるためにしているが、落ち着かない。
しかも、両手を鋼色の手錠で止められているため、身動きもできない。
頭の中でグルグルといろいろと考えている間に、目の前の渋くて厳つい顔の外国人男性はつづけて口を開いた。
「君は”変態”をみたんだな?」
普段ならまじめくさったしかも眼帯をしている男性から変態という言葉が出てきたら違和感しかないのだけれど、正直考えている余裕もない。
「…………」
俺は答えられず黙ってしまう。
おれが見たのは確かに変態だった。
レオタードを来てバレエのような動きをするおっさんと虎柄の模様の素肌をしていて、かつほぼ全裸の人間をみた。
それを見て変態と言わずして何と表せば良いのか?
だが気になる事はそこじゃない。
レオタードを着たおっさんと女子高生は人間離れしたことをしていた。
俺はアニメや、映画、漫画の見すぎかなと思ったが、そんなことは一切無い。
見る本数なんて月に1、2本だ。
いや、考えるべき所はそこじゃないし、俺の私生活など、どうでもいい。
とにかくあのふたり、そしてあの【ネイキッド・タイガー】と呼ばれた男、そして瞬間移動。俺はdreamでもみているのかな?
そう思ってしまう。けれどあれは現実でしかない。
俺が黙っていると、目の前の眼帯の外国人男性は無表情のまま、一枚の書類を取り出し机においた。
俺は机におかれた一枚の書類に目を通す。
俺は驚いた、そこには【ネイキッド・タイガー】と呼ばれた男が撮られた写真だった。
目の前の男性は俺の反応をみて口を開く。
「目にしたのか・・・・・・?」
男性は顔色一つ変えることなく言った。
俺はわからず取りあえず目の前の男性に言った。
「取りあえず、水をもらえませんか?」
俺が言葉にすると、男性は顔色を変えずに無表情で俺の顔を片目で見る。
恥ずかしいなんてことを考えられる余裕もないし、正直、恐いなと思っていた。
「…………」
地獄の沈黙が数秒だけ、続くと男性は口を開いた。
「水だな」
男性がひと言だけ言うと、突然、ブーッという音がなり取調室のドアが開いた。
そこに現れた人物に俺は声を上げた。
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