第7話 戦闘は

気が付くと完全に肉弾戦に突入していた。

金髪の女の子はナイフを逆手に持ち、平田にむけ、間合いを詰め始めていた。

しかし、平田は意図にもしないのか、金髪の女の子が繰り出す攻撃を意図もたやすくかわしつづけている。

「はっはっはっはっはっはっは!」

平田は嬉しそうに表情を笑いながら、バレエのターンをきめながら攻撃をかわす。

ピンクのレオタード姿で。

金髪の子のナイフをかわし、一度、間合いをとると、再度、女の子に向かいジャンプする。「アン!」

そう叫びながら、跳躍したまま右脚で女の子の腹部分を蹴り上げた。

「がっ!」

美怜と呼ばれた女の子はダメージが大きかったのか後ろにむかい、吹き飛び民家の外壁に背中を強打した。

そのまま地面に一度、叩きつけられるが、すぐさまナイフを構える。

それを見た平田はフッと鼻で笑い、口を開いた。

「まだやる気ですか、【ニューノーマル】のお嬢さん」

眼鏡の位置を直し、迎え撃とうとするのか、構えし、平田は美怜と呼ばれた女の子を見る。「変態(メタモルフォーゼ)していないアナタにこの素晴らしい肉体を授かった私には勝てませんよ」

平田は美怜と呼ばれた女の子にむかい、あざ笑うかのように言った。

美怜は突然、構えを解くとナイフをしまった。

「いい判断ですよ。 アナタ達がどいてそこにいる我らの同士になる少年を渡しなさい」

平田は眼鏡の位置を直すと誇らしげに言った。いや、同士じゃねぇしと俺は思いながら、自分の顔の前で振った。

美怜と呼ばれた女の子は自身の腰に着いていたポーチに手を伸ばす。

伸ばしたそこには円形のポーチで三十センチにも満たない大きさ。

そのポーチから取り出したのはフライパンだった。

「この状況で料理でもすんのか? 具材なんてないぞ」

俺は意味がわからず、訳のわからんことを口走った。

「どうしたんです。 そんなもので戦うおつもりですか? 冗談はよしてください」

見ていた平田も訳がわからないと言った調子で額に手を当てて、首を横に振る。

美怜と呼ばれた女の子は一度、空気をすい息を吐と口を開いた。

「そのまさかだよ」

そう言うと美怜と呼ばれた女の子は一気に平田に向かい、駆け出した。

「ふっ……、無駄なことを」

レオタード姿の平田は美怜を迎え撃つよな形で構える。

美怜と呼ばれた女の子は手にしたフライパンを思いっきり振りかぶる。

「おあぁぁぁあぁぁぁ」

彼女は叫びながら、平田に突進を仕掛けていく。

平田は余裕な顔で美怜の攻撃を受け止めようとしていたが美怜が彼の間合いに入った瞬間、レオタード姿、その姿で彼は本能で何かを悟ったのか、一瞬で真顔に戻り後ろへ後退した。美怜は振りかぶったフライパンを既に振り下ろしていた。

そのまま美怜の攻撃は空をきり、まるで地面に磁石がくっついているかのようにフライパンの底を地面にむかい叩き付けた。

その瞬間、驚いたことが起きた。

ゴンという音と共に、何か重量のあるものが落ちたかのように轟音と共に、地面が勢いよくヘコんだ。

俺は開いた口が塞がらず、呆然と見詰めてしまう。

美怜はすぐさま構え直し、平田に向きなおる。平田は眼鏡を直し、驚いたように言った。

「アメージング。 まさか、お嬢さん……あなたも……、変態【メタモルフォーゼ】をしていたとは……」

驚く平田に対し、美怜と呼ばれた女の子は言った。

「これが私の能力、「重力操作」と「物質硬化」よ」

美怜は誇らしげにいいながらフライパンをテニスのラケットのように持つ。

対峙する平田は、引きつった笑いを浮かべ、言った。

「まさか、二重で変態【メタモルフォーゼ】していたとはなかなかの変態ですね」

平田はニヤリと笑うと、両腕を白鳥のようにしならせ、構える。

美怜と呼ばれた女の子はフライパンを振り上げ、一気に駆け出した。

「変態、変態うるさい!」

駆け出した美怜と呼ばれる女の子は平田に向かいフライパンを振り下ろす。

平田は振り下ろされたフライパンを華麗なステップで後ろに一時後退すると、構えた右の前足を勢いよく美怜に対して繰り出した。

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