第5話
「撃たれ・・・・・・?」
「ませんよぉぉおおお」
「うわぁ!」
平田はのけぞっていた上半身を勢いよくおこすと、かまえ直す。
その光景に俺は驚いた。
ちょっとまて・・・・・・。
まさか、銃弾をかわしたのか?
いや、そんなはずはと俺がぽかんと為ていると急に現れた女の子は躊躇なく、また引き金を引いた。
今度は甲高い発砲音が勢いよく連続で続く。
俺は驚き、急いで身体を低くし、耳をふさぐ。俺はまた平田の方に向き直る。
そこには信じられない光景が広がっていた。
平田はまるで踊るような動きをしていた。
女の子が引き金を引き続ける間、平田は華麗なバレリストのような舞をつづけた。
流ちょうな美しいメロディーが流れてもいないのに聞こえてくるよう。
彼女は細いその腕でライフルを構え、狭い路地で引き金を引き、乱射する。
ライフルからはかなりの速度で弾丸が発射され、平田へと向かっていく。
しかし、平田はまるで優雅なクラシックバレエを踊っているかのごとく、身体をクネクネクネクネと動かす。
「はっはっは、まだまだぁっ!」
笑いながら平田は綺麗な身のこなしで、銃弾をかわしていく。
「嘘でしょ!」
女の子はそう叫びながらライフルの引き金を引き続ける。
しかし、弾丸は別の方向へと向かい、飛んでいく。
中には跳弾し、近隣の被害は大丈夫かなと思ってしまうほど。
俺はと言えば、物陰に隠れ、彼女の姿を見ているのみ。
金髪の女の子は弾丸が切れたのか、何度かカチッという音を立てていた。
女の子は苦虫をつぶしたような表情をするとそのままライフルを下げると、右足のホルスターに手を伸ばし、ハンドガンを目にもとまらぬ速さで抜いた。
驚いている俺をしりめに、彼女は引き金を引いた。
甲高い音と共に、弾丸が勢いよく発射される。俺はすかさず、身体を低くして、近くの自販機の横に隠れる。
「はっはっはっ!」
平田は華麗な踊り?をしながら、彼は発射される弾丸をライフルのときと同じようにかわす。
「そんな物は私の華麗な踊りの前ではただの玩具ですよ!」
平田はそう言うと華麗なターンをきめて女の子にむけて、後ろ回し蹴りを繰り出した。
蹴りは女の子が持っていたハンドガンに直撃し、女の子が持っていたハンドガンは彼女の手を離れる。
「くっ!」
女の子は自身の危険を察知していたのか、すぐさま平田から距離をとり、ボクシングのような構えをする。
もうすごすぎて俺は自動販売機にハグしてしまっている自分に気が付き、すぐさま自動販売機から身を離した。
つーか、なんなのこの闘い?
しかも、急に始まるし、何かのドッキリか、もしくは動画サイトの撮影?
もしかしてここでこの動画を撮れば、一攫千金とかあるんじゃ?
俺はそんなよこしまな事を考えポケットのスマフォに手を伸ばしたときだった。
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