幕間の

 金髪の騎士に続いて黒髪の女勇者が飛び出した瞬間、流していた魔力の流れを断ち切った。

 途端に足元の魔法陣は輝きを失って霧散し、操っていたゴーレムは形を失って崩れる。


 ──やはり無理だったな。


 力はまだ完全に戻っていないものの、あの騎士と勇者が揃って離れた今がチャンスだと強引に急いたが、上手くいかなかった。

 呆れたようにため息を吐いてしまうのも仕方がないと思う。


 しかし、感覚を取り戻すにはいい練習になった。

 細かい操作に手間取り、うっかりあの方を潰しそうになったが……まあ、それはそれで構わないのではないだろうか。

 正直、俺はあの肉体がどうなってもいいと思うのだが、どうもそういうことではないらしい。が、どうせ俺にはよくわからないことだ。なったらなったでなんとかなるだろう。


 ──しかし、あの外見はなんだ?


 柄にもなく驚きを隠せなかった。

 もさもさ頭の黒髪少年を思い返して首を捻る。あちらの魔力にもなにかしら起きているのだろうか。

 騎士と勇者以外にも変な虫が付きまとっていたようだし、少しばかり想定外のことが起きている。


 本当に、こちらの世界は変わっている。

 ……とはいえ、それは俺が考えることではないか。


 魔力ももうじき戻る。俺は言われる通りにやるだけだ。

 騎士も勇者も、魔王ですら俺にとってはどうでもいいことなのだから。


 大事なものは、昔からただ一つと決まっている。

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