犬ころがゆく 0話
世界が、暗転した。
どこかに飛ばされたのだ。
どこかは、分からぬ。
梅太郎は元気にやっていくだろうか。
少しは、自分の剣術が助けになっただろうか。
そして、異界門の術式が、「承知した」と、了解した旨をつぶやいたような気がした。
異界門の術式は、中途半端に発動され、その主を大量の生け贄を用意した
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何年か。
何百年か、もしかしたら一瞬か。
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「む……むぅん。」
「おじちゃん、起きて。起きてよ、おじちゃん。」
「ねぇ、こんなところで寝てたら、風邪ひいちゃうよ!」
草原か。
少し殺風景だ。
子供が。
身体を揺らす。
子供……。
「松五郎!?」
「う、うわぁ!」
松五郎がいるわけはない。
では梅太郎?
でもない。
「な、なんだよおじちゃん、誰なんだよ。」
「マツゴロウって……誰……いや、そもそも! おじちゃんが誰なんだよ!」
次元を漂流し、異界門のおかげで“
もしかしたら、がんばって異界門の術式が探したがそんな次元は見つからず、やむを得ずにここに落ちて来たのかもしれぬ。
ここは、次元の落窪、ゲイルガンド。
あらゆる次元の、あらゆる漂流物が漂着するところ。
そして襲い来るゴブリンたちの盗賊団を蹴散らし、自分のせいで村に迷惑はかけられぬと、村を出ることになるだろう。
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