第5話 鏡面から覗くのは
少女は鏡が怖い。鏡というものは異質だからだ。
鏡の映す姿は左右だけが反対。全てを反射しているなら上下も反対であるべきなのに。
目で見えている映像は逆さまでそれを脳で上下を変えていると言う。だとすれば鏡で見ているものは本来の姿ではなく脳がそう見せているだけではないか。
その疑問を誰も気にしない。少女の話を聞いてくれた少年はそのことを他の人たちに話した。
少年をおかしい、変だと気味悪がる人々、少女はこうなることを知っていた。だから自分からそれを言い広めたりしなかった。
少女は少年を止めた。そんなこと誰も真面目に聞いてくれないからと。
君が言ったんじゃないか。それとも嘘なのか。
少年は純粋だった。故に人を思いやる心に欠けていた。
ごめん、嘘なの。少年の行動をやめさせるための嘘も少年は見抜けない。
少年の来なくなった部屋の中、鏡だけが少女を覗いている。鏡に映った自分がそれ見たことかと笑っている気がした。
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