第3話 さよならヒーロー

どんなにヒーローが救いの手を差し伸べても犠牲は無くならない。ヒーロー自身が自分を犠牲にしているからだ。


少年はヒーローが好きだった。同時に自分を大事にしないところが嫌いだった。


ヒーローを救いたい。どうすればヒーローを救えるだろう。


その耳元で悪魔が囁いた。ヒーローがいなければいいのさ、と。


少年は悪になった。魔王となってヒーローを殺した。


大好きだと言いながら殺した。もう現れないでくれと言いながら殺した。


殺して殺してヒーローは現れなくなった。ひとりぼっちになった後、自分こそが一番自分を犠牲にしていたことに今更気がついた。


魔王は自ら命を絶った。もうどこにもヒーローはいなかった。

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