新たなる同志 後編

「ちょ、なんですか二人だけわかっちゃったみたいな顔してっ」

 レッドがイライラしながら訪ねる。

「吾輩もわからないでゴザル」

 ブルーが続く。


 ブラウンが腕を組み、神妙な面持ちで語り始める。


「神話の時代……オカメンジャーが世に放たれるきっかけになった女神MITOの話を聞いたことがあるわ」

「女神?」

「でゴザルか?」


「ええ。『そのMITO、オカメの面を持って金色のメイクを施すべし』……伝説通りだわ」


「なんですかそのパクリっぽい伝説!」

 レッドが物申すが、勿論スルーである。


「で、さっきの爆発はなんなの?」

「ああ、この子ね、すごいんだよ! ゼッフル粒子を操れるんだって!」

「ゼッフル粒子? なにそれ?」

「わかんない」

 ブラウンとブラックが首を傾げるその横で、レッドがわなわなと震え出す。

「レッド、どうしたでゴザル?」

「ぜ…、」

「ぜ?」

「ゼゼ、ゼッフル粒子!?」

 目を血走らせ、大興奮である。


「あれ? レッド知ってるの?」

 ブラウンの問いに、レッドが大きく頷く。


「知ってるも何も、なんであんたたちは知らないんだ! ゼッフル粒子って言ったらなぁ、それはもう、モググゴガギ…、」

 途中からブラウンに口を塞がれる。

「これ、長くなるパターンだわ。で、その子、名前は?」

「女神MITOの申し子で、お名前は、えっと…?」

 ブラックがソレを見下ろす。


「ワタシノ名前、ネリーロ」

 ソレが答えた。


「ネリーロ! あなた、オカメネリーロっていうのね!」

 どこかで聞いた言い回しで、ブラウン。


「練色といえば、イエローっぽい淡い色でゴザル。可愛いでゴザル」

 ブルーがネリーロの頭を撫でようとしたその時である。


「ゼッフル粒子、ドーン!」


 ドーーーーン


「あ~~~れ~~~」


 ネリーロから放たれた砲?によってブルーが飛ばされた。


「オカメが我を忘れてる! 静めなきゃ!」

 爆風を浴びながら、ブラウン。

「なんかね、これ得意技みたいよ? ゼッフル粒子を操れるんだって!」

「だから、ゼッフル粒子って、なに!?」

「知らなーい」

「俺は知ってる!!!」

 レッドがまた興奮して口を出す。


「じゃ、この子の面倒はあんたが見てね」

 ブラウンがネリーロを抱き上げ、そのままホイ、とレッドに手渡した。


「へ? え?」

 渡されたネリーロを抱き、ブラウンとネリーロを交互に見るレッド。


「よかったね、ネリーロ。わかんないことはレッドに聞くといいよ。あと、ここの掃除もしておいてね」


 今やオカメンジャー秘密基地は、ヒョットコーンのそれと変わらないくらい破壊されている有様だ。

「えええ? なんでですかぁ!」

 情けない声で抗議するレッドの肩をブラックがポンと叩く。

「だって、レッドがネリーロを呼び寄せたんでしょ? 責任とりなよ」

「連れてきたのはブラックだ! 俺は何も、」


「ワタシ、呼バれた」


「ほら」

「ええ? いつ!?」

「Okametterデ、話しタ」

 某SNSである。


「え? オカメッターで?」

 レッドが記憶を辿る。そしてポン、と手を叩いた。

「もしかして、コージェン!?」

「ソウ。私、コージェン。で、ネリーロ」


 どうやら二人は知り合いだったようだ。


「詳しいことは知らないけど、ま、そんなわけであとは頼むね」

 ブラウンはそう言うと、文庫本片手に基地を後にした。


「私も帰るね。またね、ネリーロ!」

 ブラックも帰ってしまう。


 そして入れ違いに、さっき飛ばされたブルーが戻ってくる。


「ひどい目に遭ったでゴザル」

「あ、ブルー、片付け手伝ってよね!?」

 レッドが戻ったばかりのブルーにしがみついて懇願した。


「ココ、片付ける、ノ?」

 ネリーロが首を傾げる。

「そうだよ! こんなに散らかしちゃって、もう…」

 レッドが溜息をつくと、ネリーロが目を輝かせた。


「焼き払え! 我は世界を滅ぼした邪悪なオカメの末裔なり! ゼッフル粒子、ドーン!」


 ドゴーーーン


 バコーーーン


「うわぁぁ」

「壊れるでゴザル!」


 こうして、オカメンジャーの秘密基地は、新しく入った仲間、オカメネリーロによって木端微塵にされたのである。



 頑張れオカメンジャー!



 明日は明日の風が吹く!!

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