やっぱりぶっ壊れ能力だった&プチコメント回
「すごい……あんなに強かった魔物を、たった一撃で……」
俺の腕のなかで、少女が大きく目を見開いていた。
新能力――《三秒間の時の流れ 無視》。
その字面からとんでもない能力であることは想像がついたが、やはりその推測は間違っていなかったようだな。
この能力は問答無用で周囲の時間を止め……そして三秒間、俺だけが動くことができる。
やや制限時間が短いという懸念はあるが、それを差し引いても、ぶっ壊れ能力であることには違いないだろう。
「あれ……? え?」
美憂もまた、地面に倒れている葉王を見下ろし、呆気に取られている。
「筑紫くん、もしかしていま……」
「うん。《三秒間の時の流れ 無視》を使わせてもらった」
「すごい、すごいよ! 本当に時間を止めちゃうなんて‼」
そして美憂はこちらに歩み寄ってくると、撮影中のスマホをこちらに提示してきた。その際、少女を映さない角度を保っていたのはさすが配信者といったところだろう。
――――
ゆきりあ:え、やばwww 時間止めるって、なんだそのチートwww
バルフ:強すぎて草
美里:《50000円 チケット》 やっぱり筑紫くんは最強の探索者だね!
みゅう:筑紫くん! 今日は会えなかったけど、いつか絶対デートしようね♪
リストリア:す、すごいね……。画面が一瞬止まったから、何事かと思ったよ……。
むーれす:配信画面も止まってたから、時間の流れそのものを止めてる……? いやでも、《無視》ってことだからな…
リース:時を飛ばして、霧島少年だけ動けるようになってるのかもな。だって現実世界での時間は止まってないわけだし
ヴァルドス:いずれにせよ、霧島少年は伝説の探索者ってことでおk?
美里:足りない。伝説かつ私のフィアンセだね
みゅう:は? なんであんたのフィアンセ?
ゆきりあ:またしても女の決闘始まりだして草
――――
「こ、これは……」
みんな俺のことを褒めすぎな気がするが、たしかに《三秒間の時の流れ 無視》は強い。俺がいままで見てきたアニメや漫画でも、これは最強能力の一つとして捉えられているからな。
基礎的なステータスが低い俺にとっては、願ったり叶ったりの状況と言えるだろう。
「え……? ミルちゃんに筑紫くんって……。まさか……?」
と。
いままでのやり取りで諸々を察したのだろう。
俺に抱きかかえられたままの少女が、俺と美憂とを交互に見つめている。
「はは……そうだね。たぶんその推測通りだと思うよ」
「あ……!」
その瞬間、いままで溜まっていた感情が一気に解放されたんだろう。
「
と言って、なんと俺の首に両腕をまわしてくるではないか。
「⁉ ちょ、いきなりなにを……!」
「怖かったんです。ここは初心者向けのダンジョンだから、私もここを何回も探索してきて……。そしたら、急にこんな化け物が出てきて……」
「…………」
そうか。たしかにそうだったな。
この葉王がいきなり現れたことに対して、色々と気になることがあるのは事実だ。
緊急モンスターだというのが一番ありえる線なのだが、もし仮にそうだったとしたら弱すぎる。いまの魔法一発で死んでしまったからな。
「いったん落ち着いて……事の経緯を教えてもらってもいいかな? これは俺たちも気になるところだ」
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