第参話 傷口
【走る】その絵は、さっきの絵とは全く違う。 子供が描いたかわいらしい絵だった。 親子二人青い空の下で、走っている絵。端っこには〈ぱぱとぼく〉と書いてある。なぜ、こんな絵が展示されているのだろうか?また、疑問が増える。絵の隣に目をやると、こんな文があった。
〈かいだんにすわってた。ぱぱがはしってきて、。かいだんをのぼったところにあった、へやにとじこめられた。びっくりした。そとから、どたどたおとがした。どあをあけたら、ぱぱが、ねてた。こんなところでねてたら、かぜひいちゃう。おふとんさがしにいかなきゃ、おもったら、めのまえまっくらになって、おきた〉
こんな、幼い子の夢も展示されているのか、とそんなことを考えていると、ポタッという音が耳に入ってきた。下を向くと黒い液体が落ちていた。こんなところにインク?と思い指で触れてみると泡のように消えてしまった。この液体はどこから、垂れているのだろうと辺りを見回していると、 あの絵から垂れていることに気がついた。さっきまでは垂れていなかったのに..不思議に思いながら立ち上がると、私は言葉を失った。
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