第5話「グレイザーとドライガー」

星影がヴェロキラプトル怪人を倒した直後、スカーとブラウが現れ、ヒーロー達に宣戦布告をしてきた。


その頃、グランスタ王国に向かっていたオビトと大谷は……。

クロガネに事情を話終えていた。

「なるほど……話は分かった。まぁ、少しぐらいなら分けてやる……ちょっと待ってろ」

そう言ってクロガネは立ち上がる。

「ありがとうクロガネさん!」

「ご協力感謝します」

大谷はクロガネに深く頭を下げる。

「よしてくれ、大した事はしていない。今、部下に用意させる……」

そう言ってクロガネは部屋を出ていく。


「ふぅ……やったね」

「ああ、君のお陰だ。ちょっと失礼……」

大谷は立ち上がるとポケットからタバコを取り出した。

「ちょっと一服させて貰うよ」

そう言うと大谷はタバコに火を点け窓の方へ向かった。

「ふぅ……さて、後向うのは……」

「?まだ何処か行く世界があるのか?」

「ああ、あと一つな……その世界は2度も敵に襲われてな……その度に戦ったヒーローが数人居る世界だ……」

「へぇ〜そんな世界が……」


そのそんな世界で……。


羽田空港ーー

「いや〜着いた着いた」

飛行機を降り伸びをする桐崎守(26才)と美山晴香(26才)の2人がアメリカから久しぶりに帰国していた。

「日本に帰るのも久しぶりね〜」

アメリカの大学に留学し、そのままアメリカで科学者として働いていた2人だったが、日本に帰国した目的とは?


「とりあえず藤波博士の家に向かおうと思うけど……」

「うん、いいよ行こっ」

2人はタクシーに乗り藤波博士の家を目指す。


「ねぇ、あの話どうするの?」

晴香が守に尋ねる。

「ああ……まだ迷ってるんだよね……」

守は返答に困っている。

そんな2人を乗せたタクシーはしばらく走ると藤波博士の家の前に到着した。


ピンポーン……。

守がチャイムを押す。

すると中から藤波博士が出てきた。

藤波博士(59才)が2人を出迎える。

「やぁ、いらっしゃい。待ってたよ」

「藤波博士もお変わりなく」

「いやいや、白髪と体重が増えたよ。さっ、長旅で疲れただろ?早く入りなさい」

藤波博士は2人を快く招き入れた。


そのまま奥の部屋に通されると……。

「守君、晴香さんお帰りー!!」

その一声で一斉にクラッカーを鳴らす一同。

「うわっ!?ビックリした〜」

「皆〜!!」

そこには懐かしい顔ぶれが。

かつて共にゲシェードと戦った警視庁の葛城(28才)と牧田(58才)。

更に大学時代の森川教授や友人の西山や晴香の友達まで大勢が待っていた。

「こんなに沢山……」

「皆君達が帰って来るのを楽しみにしてたんだよ。だから皆で出迎えようってね」

「へぇ〜皆ありがとう!」

「久しぶりの帰国なんだ。皆で楽しみたいじゃないか」

そう言って前に出てきたのは葛城だった。

「葛城さん……お忙しい所ありがとうございます」

「ん〜……それが誰かさんが世界を救ってくれたお陰で刑事の割には暇でね」

「え?」

「あっ、2人共傘持ってるか?葛城警視が冗談を言うなんて大雪が降るぞ」

牧田が茶化す。

「ちょっと牧田さん……」

一同笑いが起こる。

「さぁ、2人共お腹空いてないかい?パーティを始めよう」

「あっ、はい!」

守と晴香は懐かしい人達と再会し、楽しい時間を過ごした。

楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、西山はお酒に酔い潰れ眠ってしまっている。

藤波博士と守が語っている。

「それで……今回帰国した目的はなんなんだ?いよいよゴールインか?」

「え?いや、そんな……目的は2つ、1つは博士に見て頂きたい物があって」

「ん?私にか?」

「はい……コレです」

そう言って守が取り出して藤波博士に渡した物は……。

「こっ、これは……」

藤波博士が目にしたのは新たなグレイザーの設計図だった。

「前から考えていたんですが、宇宙で活動出来るグレイザーを作りたいんです……名付けてスペースグレイザー」

「宇宙活動用のグレイザーか……」

藤波博士は驚いていた。

自分の作ったグレイザーを守が更に進化させようとしている事に……。

「守君、君の才能は素晴らしい。だが、大変なのはここから先だぞ……」

「はい……覚悟しています」

「で、もう1つは?」

「あっ、それは……」

守が言い掛けたその時……。


外で爆発音が!!


「何だ!?」

この爆発音で眠っていた皆も飛び起きてしまった。

「俺、ちょっと見てきてます!」

そう言って守が外に飛び出すと……。


1人の怪人がドライガーを苦しめていた。


「ドライガー?」

「ぐあっ……まっ……守さん……」

ドライガーは守の方に手を伸ばす。

「フンッ」

怪人はドライガーを投げ飛ばす。

「ぐあっ!?」


葛城も出て来た。

「勇一君!?」

葛城がドライガーに駆け寄る。

「か……葛城さん……」

「おい!何があったんだ勇一君!」


「お前……何者だ!」

守が怪人の前に立つ。


「お前はグレイザーか……丁度良い……俺はお前らヒーローを抹殺する為にここに来たからなぁ……」

「ヒーローを抹殺……だと!?」


葛城に支えられドライガーが何とか立ち上がる。

「守さん……ソイツはスカー達の組織の者です……どうやら……俺達を狙ってる……」

「何だって!?」


「そう……俺はお前らヒーローを抹殺する死神だぁ……」

「目的は俺達か……葛城さん、皆を避難させて下さい!」

「あっ、ああ……」

守は戦う決意をした。


コイツは今までの奴とは違う……。

そう守は直感していた。

守は『グレイアクセラー』を起動させ『変身』

超戦士グレイザー登場。


「勇一君……いやドライガー、まだ戦える?」

「ぐっ……勿論です!」


「纏めて掛かってこい……このヒーローキラー、ディグニス様が相手してやるぜ!!」


その頃、スカー達は……。

「え?ディグニスをグレイザー達の世界へ?」

「ああ、奴の強さならヒーローの1人や2人殺せるだろうからな……」

「しかし……良くボスが許可しましたね……あんな他所者……」

「仕方ねぇのさ……ボスにとっても俺達組織にとってもヒーローの存在は邪魔だ……それを消せるなら誰でも利用するだろうぜ……俺達もディグニスの様子を見に行くぞ」

「ヘイ!」


そして、オビト達は……。

クロガネが『ディメンションクリスタル』を持って来てくれた。

「待たせたな。今渡せるのはコレだけだが……」

「ありがとうクロガネさん!助かる!」

「そうか?じゃあ持ってけ」

「すみません……ありがとうございます」

「じゃあ、早速戻ろう大谷さん」

「ああ!」

「気を付けろよ」


オビトと大谷はクロガネと別れ再び次元を移動する。


元の世界に戻って来たオビトと大谷は仲間達と合流する。

が、こちらも深刻な顔をしていた。

「ただいま……ってあれ?どうした?」

「オビト……お帰り……」

「何かあったのか?」

「隊長……それが……」

「あのスカーとか言う男……ヒーローを皆殺しにするとか言ってきてさ……」

「!?何だって!?」

「小十郎さんがあのブルートって奴を倒してくれたんだけど、その直ぐ後にスカーって奴が現れて……」


「まずいな……佐藤、新木発進準備はいいか?」

「はい、調整は完了してますが……」

「ならこのディメンションクリスタルを組み込んで直ぐに出発するぞ」

「え?あっ、はい!」

佐藤がディメンションクリスタルを受け取る。


「これ以上後手に回ってたまるか……奴らの野望を阻止するぞ!!」


一方で、グレイザーとドライガーはディグニスに苦戦していた。

「ハァ……ハァ……奴め……何て強さだ……」

「ね?俺が苦戦してたのも分かるでしょ?」


「おいおい……ヒーロー二人がかりでその程度か?ガッカリさせるなよ……こっちはテメェを倒す為の大軍勢まで用意してるんだからさ……」

「大軍勢だと!?くっ……お前だけじゃ無いって事か……」

「そうさ……明日の朝には各平行世界のヒーローに向けて大軍勢が一斉に襲い掛かる……勿論最後にトドメを刺すのは俺だがな……」


「俺達だけじゃないって事か……」

「だったら……尚更負けられない!」

グレイザーとドライガーは自分を奮い立たせる。


「残念だが……お前らはもう死ぬんだよぉ……俺の手によってなぁ!!」

ディグニスはグレイザーとドライガーにトドメを刺そうと襲い掛かる。


だがその時、次元の扉が開いた。

「ん?なっ、何だ!?」

次元の扉から現れた巨大な戦艦ミカド……。


中からクロスセイバーと星影が降りてくる。

「テメェらの好きにはさせないぜ!!」


続く……。

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