第4話「宣戦布告」

オビトと大谷隊長は一度「ミカド」に戻って来た。

「隊長、一体どうゆう事ですか?」

「エクスカイザーの世界に行って彼をスカウトする所までは行ったんだが……邪魔が入ってな。彼に俺の小型次元移動装置を渡して戻って来たんだ」

「小型次元移動装置?」

寛太が尋ねた。


「ああ、実は俺達の世界にも次元を移動する技術があってな……この船、ミカドもそうだが、それより更に小型化した個人レベルで次元移動が出来る装置なんだ。まぁ、オビト君の持つディメンションクリスタルに比べたら燃費は悪いがな」

「へぇ〜……それでも凄い技術だ……」

その時、オビトは違和感に気付いた。

「あれ?セイラは?」

「……」

「……」

急に黙ってしまう寛太達……。

「おい、まさか……セイラに何かあったのか?」

「ああ……実は……」

「何だよ!はっきり言えよ!!」

オビトは寛太の胸ぐらを掴んで詰め寄る。

「ちょっ……落ち着いてよオビト……」


「あっ、わりぃ……それで、セイラはどうしたんだ?」

寛太はセイラが拐われた事を話した。

「なん……だと!?」

「すまぬ……拙者のせいじゃ……拙者が付いていながら……」

「小十郎!テメェ!ふざけんなよ!!」

オビトは今度は小十郎に掴みかかる。

「オビト落ち着いて!」

「小十郎!テメェのその力は何の為にあるんだよ!?守る為じゃねぇのか!!ああ!?」

「くっ……すまぬ……確かに拙者の力は守る為にある……だが、拙者の力不足であった……」

「ふざけんな!!」

オビトは小十郎に向かって拳を振り上げる。

「やめろ!!」

大谷の一声でオビトは踏み留まった。


「今、ここで君達が言い争ってても仕方ないだろ……それより、これからどうするのかを話し合うべきじゃないか?」

オビトは小十郎を離した。

「そうだな……すなねぇ……」

「いや……拙者の力不足は本当でござる……」


「よし、体勢を立て直すぞ。佐藤、ミカドのエネルギー残量はどの位だ?」

「現在役30%程……ギリギリ我々の次元に帰れるくらいかと……」

「そうか……この世界にはエネルギーをチャージする手段も無いからな……この船で別の次元に乗り込むのも危険だろう……」

「なぁ、その事なんだけどさ……ディメンションクリスタル……使えないかな?」

「え?」

「確かに……ディメンションクリスタルのエネルギーをこの船のエネルギーに運用すれば……今より着実に次元移動が出来る様になります!」

「しかし……君のディメンションクリスタルを使ってしまっては君の次元移動が……」

「それは大丈夫。ディメンションクリスタルがまだ有りそうな所知ってます」

「そうか!グランスタ王国!」

寛太も勘づいた。

「グランスタ王国?」

「ええ、俺達の故郷……そこに魔王軍はディメンションクリスタルを大量に残してました。王国騎士団がそれを回収してるはずです」

「なるほど……よし、それに賭けてみよう。私も連れて行ってくれ」

「ああ!じゃあ早速!」

「え?隊長、今から行くんですか!?」

「善は急げだ。君達はディメンションクリスタルをエネルギー運用する為のシステムの変更を頼むよ」

「了解……」

「よし、オビト君頼む」

「おう!」

オビトはディメンションクリスタルの力で次元の扉を再び開く。

そして、オビトと大谷はグランスタ王国に向かって出発する。


その頃、ブルートはセイラを連れてスカー達と合流していた。

セイラは気絶していた。

「戻ったか」

「ああ、土産もあるぜ」

「何だその女は?」

「この女魔法が使えてな……役に立つと思って連れて来た」

「魔法?ほぉ……それは興味深いな……所で……1人位ヒーローを殺して来たんだろうな?」

「え?いや、それは……この女の力で回復されちまうからよ……先にこの女を利用した方が……」

「殺して来い……今すぐに……」

スカーがブルートを睨みつける。


「わ……分かった……」

ブルートは再び出撃。


ミカド船内では佐藤がシステムの変更作業を、新木が部品の交換作業を行っていた。


一方で小十郎と寛太はミーティングルームで待っていた。

「小十郎さん、さっきは……オビトがごめん……悪い奴じゃ無いんだけど……なんて言うか……セイラちゃんの事になると周りが見えなくなる所があるって言うか……」

「いや、当然でござるよ……それに拙者がオビト殿の立場なら同じ事をしていたかも知れぬ……」

「え?そう?」

「拙者はな……昔大切な人を失ってな……オビト殿には拙者の様な思いはして欲しくない。オビト殿には大切な人を守り抜いて欲しいでござる……」


小十郎もオビトの気持ちは分かっていた。

だが、だからこそ、自分の力不足を痛感している様だ。


その頃、オビトと大谷はグランスタ王国の王宮に到着。

「クロガネさん!」

「オビトか、どうした?国王様に用事か?」

「いや、クロガネさんでも良いとは思うんだけど……」

「ん?あっ、そちらは?」

「申し遅れました。私はBLADEの大谷と言う物です」

「はぁ……それで何の用だ?」

「ディメンションクリスタルを分けて欲しいんだ」

「何っ!?あれは希少な物だってお前も知ってるだろ」

「分かってるけど、必要なんだ」

「訳がありそうだな……詳しく聞こう」

クロガネはオビトと大谷を別室へ案内した。

そこで、オビトと大谷は詳しく事情を話す。


その頃、ミカドに近付いて来るブルート。

「星影……まずはテメェだ……」

ブルートはヴェロキラプトル怪人に変身し攻撃を仕掛けて来る。


ミカドの船体に衝撃が走る。

「何だ!?」

「まさか……拙者見てくるでござる!」

小十郎は飛び出して行く。

「あっ!小十郎さん!」


佐藤と新木も慌ただしく動く。

新木はミーティングルームに戻って来た。

「おいどうした?」

「船が何者かの攻撃を受けてるのよ!今船外カメラで探してるから……」

「分かった、早く見つけてくれよ」

そう言って新木は武器の準備をする。


その頃、小十郎は外に出ていた。

「どこだ?」

小十郎は周りを見渡す。

「来たな、星影……」

「お前は昼間の……」

「今度こそ容赦しねぇ!!」

ヴェロキラプトル怪人が襲い掛かって来る。

「星影……!?」

小十郎は变化を試みるがヴェロキラプトル怪人はそれを妨害する。

「くっ……貴様、卑怯だぞ!?」

「バカめ、変身出来なければ貴様はただの人間……このままぶっ殺してやるぜ!!」

「くっ……」

小十郎は何とか变化しようとするが、ヴェロキラプトル怪人は何度も何度もそれを妨害した。


新木が船から出てくる。

「このやろ!!」

新木はマシンガンでヴェロキラプトル怪人を攻撃。

「ぐっ!?邪魔だ!」

ヴェロキラプトル怪人は新木に襲い掛かる。

「ぐっ……小十郎……今だ!!」

「助かったでござる!」

「しまった!?」

「星影−变化」

小十郎は星影に変身。

ヴェロキラプトル怪人に斬り掛かる。


「ぐっ!?ちくしょー……」

「新木殿、助かったでござる」

「ああ、後は頼むぜ!ヒーローさん」

星影はヴェロキラプトル怪人への攻撃を仕掛け続ける。

ヴェロキラプトル怪人はそのスピードを活かし攻撃をかわす。

「くっ……ちょこまかと……」

「星影、援護するぜ!」

新木がマシンガンを構えて言う。

「すまぬ……」

ヴェロキラプトル怪人が背後から星影に迫る。

「!そこだ!!」

新木がヴェロキラプトル怪人に向かってマシンガンを撃つ。

「ぐあっ!?」

「見切ったでござる!!」

星影は『獄炎武装』し地獄の炎の鎧を身に纏い反撃に出る。

『奥義・業火一閃』を発動。

ヴェロキラプトル怪人を斬り裂いた。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

地獄の業火に焼かれヴェロキラプトル怪人は倒された。


「すげぇ……星影はまだ力を残してたんだ……」


だが、そこへスカーとブラウがやって来た。

「なるほどな……地獄の力か……」

「誰だ!ん?お主達は……」

「よぉ、星影……ブルート如きを倒した位でいい気にならない方がいいぜ……こっちは計画を次の段階に進める準備が整った……貴様らヒーローを皆殺しにしてやるぜ」

スカーはそう不適に微笑みながら言ってきた。

これはスカーからの宣戦布告だった。


続く……。

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