第3話「エクスカイザー登場」

「そんな……なんてスピード……」

「全く捉えられなかった……」

佐藤と新木は全く戦いの役に立てなかった。


「星影でもあの怪人には追い付けなかったんだ……俺達が対抗出来る相手じゃない……」

「そんな事言ってる場合かよ!セイラちゃんが拐われたんだぞ!?」

寛太は珍しく怒り心頭だ。

「すまない……直ぐに捜査網を敷く」

「大丈夫、ここからは私達の出番よ」

「2人共、頼むでござる……だが、拙者の速さでは奴には勝てん……」

「何か対策を練る必要があるわね……とにかく私達に付いてきて」

寛太と小十郎は佐藤、新木に付いて場所を移動する。


その頃、オビトと大谷は別の世界に到着していた。

「よし、着いたぜ。って言っても……日本と何も変わらないな……」

「そりゃそうさ、ここだって日本なんだから」

「ふ〜ん……」

「さっ、行くぞ……この世界のヒーローに会いに」


オビトと大谷は歩き出す。


そして、それを追って来たスカーとブラウ。

「まさか、奴らが最初にこの世界に来るとは思いませんでしたね」

「ああ、だが丁度いい……この世界なら奴が居るからな……ブラウ、奴に連絡を取れ」

「へい!」

スカー達が言う奴とは……?


しばらく歩くとオビトはうずくまる。

「あ〜……腹減った……」

「おいおい、こんな所で休んでる暇なんて無いぞ?」

「だって腹減ったんだもん……」

「はぁ……しょうがないな……じゃあ近くの店に入って何か食べるか……今日はもう夕方だし、あんまりのんびりはしてられないからな?」

「うん……分かった……とにかく何か食わして……」


−居酒屋源−


「うん!美味い!あっ、こっちも美味い!」

「やれやれ……もう少し落ち着いて食べろよ……」

「兄ちゃんそんなに美味いか?」

大将の源さんが話しかけて来た。

「ああ、この唐揚げ絶品だな!」

「そうかい!そりゃ嬉しいね」

「所で大将、この辺に探偵事務所があると思うんだが……」

「探偵事務所?なら岡本探偵事務所だろうな。あっ!丁度今来てるよ」

「はい?」

そう言ってカウンター席の方を見ると……。

「男の乾いた心を潤してくれるのがこの一杯の酒だ……。仕事の後のこの一杯が嫌な事も全て洗い流し俺の心に癒しを与えてくれる……っておやっさん良く言ってたなぁ」

「またその話!?もう100回位聞きましたよ!」

「そんなに話してねぇだろ!」

「そもそも一回で十分ですから!」

「何だよ折角おやっさんの事話してやろうと思ったのに……」

「おい、直樹、酔っ払ってカッコつけてる所悪いがお前にお客さんみたいだぞ?」

「あん?」

工藤直樹(25歳)職業探偵。

そしてエクスカイザーに変身する人物だ。

そして、直樹は一緒に飲んでいるのは探偵助手の岡本美紀(22歳)。

直樹の探偵の師匠である岡本総司の娘。


大谷が近付いて来る。

「あなたが工藤直樹さん……」

「そうだけど……」

「我々に力を貸して貰えないだろうか?」

「何か訳ありって感じだな……黒いスーツに黒いネクタイ……懐には恐らく拳銃……だが、ここらの警察関係者では見ない顔だ……大方どっかの秘密捜査官って言った所か」

「!?良くそこまで……」

「まっ、人間観察は探偵の基本……師匠に嫌って程叩き込まれたからな……場所を変えようか。ここじゃ話にくいだろ」

「あ、ああ……」

「源さんお勘定頼むぜ」

「はいよ」


居酒屋源を出て人気の無い場所に移動する直樹達……。

辺りはすっかり暗くなっていた。

「ここならいいだろ……夜は誰も来る様な所じゃない」

「ああ、探偵としてと言うよりは……エクスカイザーとして頼みがあって来た」

「?何かデカいヤマか?」

「ああ、まず説明して置かなければならないな……我々はこの世界の人間ではない」

「別の世界からやって来たって訳か……まさか、コードネームに色を使ってる組織絡みとか言わねぇよな?」

「えっ!?何でそこまで!?探偵ってすげぇ」

オビトは驚く。

「ああ、いや……俺も少なからず奴らとは因縁があってね……それにあんた達と同じ様に別の世界から来た奴に会った事もある」


「なるほど……では話は早い。我々に協力してくれないか?」

「依頼人の頼みを断るな……それがおやっさんの教えだ。その話乗るぜ」

「ありがとう!」

「それは困りますね……」

「誰だ!?」

振り向くとその声の主が姿を現した。

それは直樹達と敵対していた犯罪コーディネーターのMだった。

「M!?テメェ……」

「お久しぶりですね、工藤直樹……それに岡本美紀……」

「おいおい、誰だ?お友達って雰囲気でも無さそうだが……」

オビトも前に出てくる。


「奴は犯罪コーディネーターを名乗るゲス野郎さ……にしてもお前まで出てくるとはな……」

「今はもっと大きな組織に身を置いてましてね……あなた達がまた我々の邪魔をする様なので先に消せと命令を受けました」

「お前も組織のメンバーって訳か……」

「そう……そして、私が組織に与えられた力で……あなた達を殺して差し上げます」

Mは『ヴィランキー』を取り出した。

「ヴィランキーだと!?」

「そう……これは黒沢会長がスカーに頼まれて作っておいた新世代のヴィランキー。古代生物シリーズ……」

「古代生物シリーズ!?そうか……奴らは古代生物の力を使う……それに対応したヴィランキーって事か……」

「ええ……その力存分にお見せしますよ……」

Mは『ヴィランキー』で変身。


モササウルスヴィランに変身した。

「ああ……この全身に漲るパワー……凄まじい物を感じます……良い気分ですよ……」


「チクショー!」

オビトが構える。

「待て、ここは俺が……お前達はまだ行く所があるんだろ?」

「で、でも……」

「これは俺の戦いだ……そしてお前にはお前の戦いがあるだろ……行けよ」

「何をごちゃごちゃと……全員殺すに決まってるだろー!!」

モササウルスヴィランは襲い掛かって来た。

「オビト君行くぞ!」

「え?でも……」

「いいから早く!」

「行け!」

直樹は『変身』

エクスカイザーとなりモササウルスヴィランと戦い始める。

「くっ……分かった……じゃあ次行くぜ!」

オビトは再び『ディメンションクリスタル』で次元の扉を開いた。

「そうだ!君、コレを後で彼に渡しておいてくれ」

大谷は美紀にブレスレットを預けた。


「え?これは?」

「きっと君達とはまた会える。じゃ!」

そう言って大谷とオビトは次元の扉に飛び込んで行った。


エクスカイザーはモササウルスヴィランの圧倒的なパワーに大苦戦。

「ぐあっ!?」

「チッ……他を逃しましたか……まぁ、いい……エクスカイザー……まずは黒沢会長の恨みを晴らします……」

モササウルスヴィランはエクスカイザーにトドメを刺そうと迫る。


その頃、佐藤と新木はブルートの足取りを掴もうと必死に捜索していた。

今、彼らが居るのはBLADEの所有する大型次元移動船『ミカド』の中だ。

「凄いな……こんな船で次元を移動出来るなんて……」

「これはどういったカラクリでござる?」

「この船には時空間移動が出来る様に特殊なエネルギー源が使われてるんだよ。残念ながら極秘情報だから詳しくは教えられないけどね」

「でもこの船のエネルギーにも限界はあるから気軽に時空を移動出来る訳じゃないの。そう考えるとオビト君の持つディメンションクリスタルの方がよっぽど凄いわ」

「へぇー……」

「君達の仲間の居場所は必ず見つけ出す。だからもう少し時間をくれ」

「分かった……こんな凄い物見せられたんだ。信じるよ」

「フッ……ありがと」


「ねぇ、あのスカーって奴ら何者なの?」

「それは俺から話そう」

振り向くとオビトと大谷が戻って来ていた。

「隊長!」

佐藤と新木は敬礼をする。

「事態が変わった。作戦の変更が必要だ」


続く……。

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