第2話「BLADEのエージェント」

スカーとブラウが魔王城にやって来てそれをドラゴニルが迎える。


睨み合うドラゴニルとスカー。


「交渉だと?何が目的だ?」

「ディメンションクリスタルを少しばかし分けて頂きたくてね」

「ディメンションクリスタルだと!?何故貴様がそれを!?」

「我々の崇高な目的の為にはあらゆる次元に移動出来る力が必要でね……ディメンションクリスタルがあればそのエネルギーを半永久的に得られる……だからディメンションクリスタルが必要なんだ」

「ほぉ……悪いがディメンションクリスタルは希少な鉱石だ……そう易易とやるわけには行かないんでな!!」

ドラゴニルがスカーに攻撃を仕掛けた。

「やはりこうなるか……」

スカーはティラノサウルス怪人に変身しドラゴニルと戦う。


「なるほど、変身能力か……ただのこそ泥じゃ無さそうだな!!」

ドラゴニルは火球を投げ付ける。

「ぐっ……」

ティラノサウルス怪人は尻尾で火球を打ち返す。

「チッ……」

「ドラゴニル、そこまでだ」

「え?ディアボロス様!?」

魔王ディアボロスが直々に現れた。


「ディアボロス様!?何故ここに!?」

「これが……魔王……ディアボロス……」

ディアボロスはティラノサウルス怪人の足元に数個のディメンションクリスタルを放る。

「ディメンションクリスタル……」

「何故です!?ディアボロス様!?何故こんな奴らに!?」

「貴様らの崇高な目的とやらに興味が湧いた。好きに使うが良い」

ティラノサウルス怪人はスカーの姿に戻った。

「話の分かる魔王で助かった」

スカーはディメンションクリスタルを手に取る。

「ただし、貴様らが我々の目的を邪魔するようだったら直ぐにでも貴様らを潰しに行くぞ……覚えておけ」

そう言い残してディアボロスは姿を消した。


「ケッ……、ディアボロス様も物好きだぜ……命拾いしたな」

ドラゴニルも姿を消す。


「フンッ……目的の物は手に入れた……行くぞ」

スカーとブラウも去って行った。


その頃、食事を終えたオビト、セイラ、寛太は小十郎が現れた場所にやって来た。

「ここから小十郎は来たんだ」

「ここから本当に帰れるでござるか?」

「ああ、俺には次元を超える力があるから小十郎の居た世界まで送って行ってやるよ」

「あーあ、もう少し小十郎さんの話聞きたかったのにな〜……」

寛太がボヤく。

「仕方ないじゃない、小十郎さんもやる事があるって言ってるんだから……」

小十郎のやる事……それは昼食を食べている時に小十郎がオビト達に話していた。


小十郎がこの世界に来る少し前……。

日本中を旅していた小十郎に雪菜から連絡が入った。

それはかつて共に妖怪達と戦った仲間、橘の忍である橘来人が消息を断ってしまったと言う内容だった。

来人の妹の美桜は来人を心配し、雪菜に相談していた。

小十郎は雪菜からの連絡を受け東京に戻る途中だった。


「それでは世話になったでござる。お主達も厳しい戦いの最中の様でござるが明けぬ夜は無いでござる。頑張るでござるよ!」

「ああ!ありがとうな。んじゃ行くぜ!」


オビトが次元の扉を開けようとしたその時。

誰かから待ったが掛かった。


「え?」

「すまない、君にはまだ元の世界に帰られては困るんだ」

そこに現れたのはBLADEの捜査官、大谷、佐藤、新木の3名だった。


「あんた達は?」

「我々は秘密調査機関BLADEの者だ。君達に話がある」


「俺達に?」


大谷達は場所を変えオビト達を連れて行った。


「よし……ここなら誰も居ないだろう」

大谷が周りを見渡す。

「で、俺達に話って?」

オビトが尋ねる。

「そもそもBLADEってなんなの?」

「我々は君達と同じ様に別の世界から来た捜査機関だ」

「別の世界から!?」

「ああ、我々はある組織を追ってこの世界にやって来たんだ。そして、その組織は強大な力を持っている……君達ヒーローの力が必要なんだ」


「組織?まさか、あんた達も魔王軍を追って?」

「いや、君達が敵対する魔王軍とはまた別の組織だ……正直な所、現状ではその組織の目的も名前さえも分かって居ない……」

「魔王軍以外にもそんな奴らが……」

「奴らを倒す為には君達ヒーローの力が必要だ。それも多くのな」

「でも……ヒーローなんてそんなに大勢居るもんじゃ……」

「いや、居る。ただし、別の世界にな……」

「別の世界……じゃあ、俺や小十郎みたいな奴が他にも居るってのか!?」

「ああ、それぞれ能力や戦い方は違うがな。我々はそのヒーロー達を集め、最強のチームを作るのが目的だ。そして、その為には次元を移動出来る君の力が必要なんだ」

「要するに、様々な世界に行ってヒーロー達をスカウトして来いって事か……面白れぇ……」


「そうはさせん」

何処からかそう声が聞こえて来た。

「誰だ!?」

現れたのはスカーとブラウ。

そして新たな組織の構成員と思われる男。


「お前達は……」

「まさか、例の組織の?」

「ああ、我々が重要人物としてマークしていたスカーとブラウ……」

「じゃあもう1人は?」

「分からん……初めて見るメンバーだ」


「だとよ……自己紹介してやれ」

「ああ……」

その男は前に出てきた。


「俺はブルート……まぁ、貴様らはここで死ぬんだ……覚える必要はねぇと思うがな……」

そしてブルートはヴェロキラプトル怪人に変身。


「くっ……邪魔はさせないでござる!ここは拙者が!」

小十郎が前に出る。

「小十郎……」

「オビト殿は行くでござる!」

「ああ……」

「星影−变化」

小十郎は星影に『変身』

襲い掛かって来るヴェロキラプトル怪人と星影が戦う。


「よし、オビト君、私は君と同行する。佐藤、新木、星影を援護するんだ」

「了解!」

「じゃあ行くぜ!」

「頼む」


オビトがディメンションクリスタルの力で次元の扉を開き大谷と共に別の世界へ向う。


「チッ……奴らを追うぞ」

スカーとブラウもオビト達を追う。

星影とヴェロキラプトル怪人は激しい戦いを繰り広げる。

「頑張って小十郎さん!」

「頑張れ!!」

後ろで応援するセイラと寛太。


ヴェロキラプトル怪人の素早い動きに翻弄される星影。

「くっ……早いでござる……」


「テメェ如きで俺のスピードに付いて来れるかよ!!」

ヴェロキラプトル怪人は星影を背後を取った。

「しまっ……!?」

ヴェロキラプトル怪人の鋭い爪が星影を襲う。

「ぐわぁぁぁっ!?」

星影は倒され小十郎の姿に戻った。

「小十郎さん!?」

セイラが慌てて小十郎に駆け寄る。


「ったく……だから俺には勝てねぇつったのに……邪魔しやがって……」


セイラは小十郎に手を当てて回復魔法を掛ける。

「ん!?」

「小十郎さん……しっかり……」

セイラの魔法で小十郎の傷は回復して行く。


「な……何だあの力は……!?」

これにはヴェロキラプトル怪人も驚く。


そして……。

「セイラ殿……助かったでござる……これは……妖術の類いか?」

「人を妖怪みたいに……魔法よ魔法!」

小十郎は完全に回復し起き上がる。

「不思議は力でござるなぁ……セイラ殿かたじけない」

「バ……バカな!?傷が回復しただと!?なっ……何なんだあの女は……!?」


「恐竜の人、待たせたでござるな……ここから反撃でござる!」

「フッ……面白ぇ……もうテメェに用はねぇ!」

ヴェロキラプトル怪人はまた素早い動きで小十郎の背後に回る。

だが、狙いは……。

「えっ……」

「何っ!?」

小十郎ではなくセイラだった。

ヴェロキラプトル怪人はセイラを捕まえた。

「ちょっ……ちょっと!離して!離してよ!」

「セイラちゃん!」

「セイラ殿!?」

「まさか魔法を使える奴が居るとはな……コイツは使えるぜ……」

ヴェロキラプトル怪人はそのままセイラを拐って姿わ消した。


「そんな……セイラ殿……セイラ殿ー!!」

小十郎は叫んだ。

だが、その叫びはセイラには既に届いていない。


続く……。

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