1-3 ツルッツルッ


 抱き抱えた時から我慢してたが、雲が晴れてきて太陽の蒸し暑さが出てきて、人に、ましてや女の子に言うべきではないが、

流石に...クセェ!


「おいアセビ、身体洗うぞ。」


....コクン

自分の腕を嗅ぐようなポーズを取ると、芳しい臭いと長い時間を共にしすぎて、本人には何も感じないようで、少し躊躇い気味に頷いた。


バンの後ろから大きな鉄製の桶を取り出して、アセビに不思議そうな顔で桶を指を刺されたが、俺はあくまで桶を風呂だと言い張る。


ジャーーー

つたの絡みついた蛇口を捻ると、最初は鉄の錆びが染み込んだ、茶色の液体が出てきたが、だんだんと透明度が上がり、


「オオ!きたきた」


桶に綺麗な水が溜まる。


こんなにボロボロの廃工場だが、急速に廃業になった工場だから、水道だけは繋がっている、

調べて色々知ったが犯罪者の隠れ場所としてここ以上に最適な場所は無い。


俺はできるだけアセビの体を見ないようにホースでアセビの背中に水をかけ、

食器を洗うために使っていた洗剤を水とか美容品と薄めて、今さっき作ってやったお手製のボディソープをタオルで泡立てて洗う。



アセビの柔らかい肌をながれた泡と水が、桶に入ると綺麗な水が見る見るうちに色がつき、ドロドロになる。


「……洗い終わったか?」

途中から道具をアセビに持たせて俺はホースを持ちながら、反対を向いているのに、更に目まで隠して、洗い終わるのを待っていた。


綺麗に洗い終わったと目で確認するために前を向いた瞬間、アセビが俺のパンツに手をかけた。


咄嗟に引き剥がすとアセビはまたキョトンとした目で俺の目を見た。


…あの家のことだそういう事もやって居てもおかしくない。そんな想像して気分が悪くなる。


「フ、風呂は終わりだ着替えてこい。」



アセビは桶に入った水を萎びた花壇近くの土にかけて、水でふやけた土をいじって遊んでいると、綺麗になった体をまた土で汚していた。


またと言うことは、前に1度見たと言うことだ。朝起きると膝枕をしていた日の夜、音がすると思って起きたら土で山を作っていた。


俺の腰丈よりデカい山を。


そして今は器用に泥の硬さと粘度と色まで調整して、こねくり回している。


「なんでそんなことが趣味かね」

言うつもりはなかった一言が、集中してるアセビの耳には聞こえた。


「同じ.....無価値...」

相手も言おうとした言葉ではないのかもしれないが、数少ない会話に男は優しく微笑む。

「難しい言葉知ってるな。」


頭を撫でてやると少女の背中で見えなかった

土で作った小さなコップが二つ見える。


「スゲェけど、手を汚すんなら洗う時、ついでにアレも洗っとけよ。」

男は桶にかけられた、アセビの服を指差したつもりだった。



少女は泥遊びを終えると、指を刺された物を取りに走り、男は安心してこれからの事を考え初め頭を抱えた。


でもでもでも...どうすりゃ良いんだ、売れもしねぇ、価値がないガキ一人。


どこかで売るにしてもアイツのいる地域じゃ、まずバレてまずい事になる、それにあの年齢の身売りはどうしても、俺が好まねぇ!


親指の関節を曲げて、男は考える。


どうしても出来ない、それならッ

ーーっと、この場を全て解決できるような

一つの素敵なアイデアが湧いてくるが、


…俺は犯罪者だぞ。

そんなこと出来ないと、自分が自分を強く否定する。


こういう時代だ孤児院とかどこにでも、あるだろ、良い親が来ると信じてどっかで捨てるか?

ダメだ、この世界の人間は狂ってるんだよ。


でも孤児院にも、良い思い出がねぇんだよな。あーあーあーあーあー


葛藤していると背後のアセビから水の音と何かを擦る音が聞こえてくる。


ゴシッゴシッ明らかに強い、服を洗っているにしては音が硬いまるで、硬い布で金属を洗うような音。


男は水と洗剤をつけた、自分の服で桶を綺麗にしているアセビを見て、また頭を抱える。

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