桃園結義
簡雍がトントンと扉を叩く。
?「どうぞ」
簡雍「邪魔するぞ」
?「簡雍に玄徳とそっちは義賢だろ」
又しても僕のことを知っているらしいが俺は目の前のこの人のことを当然知らない。
簡雍「
この人が田豫だって、親孝行が故に劉備殿の元を離れその後、この地を治めていた曹操の庇護の元活躍した名将。
田豫「それしか取り柄がないものでな。それより玄徳や義賢も連れてどうしたんだい」
劉備「義勇兵を結成することになってな。是非君にも参加して欲しくてな」
田豫「すまないがお断りする」
?「国譲?お客さんかい。こんな姿で申し訳ないねぇ」
田豫「母さん、病なんだから寝てなきゃダメだろ」
田豫の母「玄徳に簡雍かい、悪ガキが集まってどうしたんだいって、ありゃ義賢ちゃんも居たのかい」
お婆ちゃんという感じの風貌をした人も俺のことを知ってるらしいが勿論俺この人とも会ったことはない。反応に困ったが挨拶されたのに無視はいけないだろう。
義賢「御無沙汰しています。おばさま」
田豫の母「義賢ちゃんは相変わらず優しい子だねぇ。悪ガキたちと一緒にいちゃいけないよ」
義賢「おばさまもお綺麗です。兄上が義勇兵を結成する決心をしたので、田豫殿を誘いに来たのですが、おばさまの様子を見る限り今回は見送るのが良さそうですね」
田豫の母「まぁあの悪ガキ代表の玄徳がねぇ。国譲、私のことはいいから手を貸してやりな」
田豫「母さんをほっていけるわけないだろ」
田豫の母「このまま黄巾党を好き勝手させていたらいずれこの村にも攻めてきて、どうなるかわかったもんじゃないよ」
田豫「それでも俺は」
田豫の母「悪ガキだったお前が病気になった私の看病でそばにいてくれるのはありがたいけどね。それより大事なことがあるだろう。天子様を義勇兵として救ってくる国譲の姿を私は誇りに思うね」
田豫「母さん、わかったよ。玄徳、簡雍、義賢、俺もついて行くよ」
簡雍「なっなんとかなっただろ」
簡雍は疲れたのか寝そべって聞いていた。この人マイペースすぎるだろ。しかも自分の手柄のように言ってるけど何もやってねぇよ。
劉備「お前何もしてねぇじゃねぇか」
簡雍「バレたか」
田豫「ハハハ。簡雍お前も相変わらずじゃねぇかよ」
簡雍「うるせぇやい。さぁ決起集会も兼ねて酒飲みに酒場に行こうぜ」
劉備「そうだな」
全員で酒場に向かうとなんだか騒がしい。
?「今日こそどっちが強ぇか決めようじゃねぇか」
?「翼徳、またそれか。お前も懲りぬな。かかってくるがいい」
翼徳ってことは、劉備殿の義兄弟の張飛殿?それと向き合っているあの髭の長さは関羽殿か?やばい止めないと酒場で暴れたら周りに被害が。
張飛「関羽、行くぜぇ〜」
関羽「ふんぬ〜」
張飛「ぐぬぬ〜」
えっ腕相撲?兄上がツカツカと2人のところに歩いて行く。
劉備「両人、楽しいことをしているな。俺とも一戦交えてもらえないだろうか」
張飛「おぅおぅ。俺様に挑むとは命知らずな奴だな。俺は
関羽「よさぬか翼徳。某は
言い終わると関羽は張飛をねじ伏せた。
張飛「うおっ」
関羽「まだまだ修行が足りぬな翼徳よ」
張飛「クソ〜もう一回だ」
関羽「こちらの御仁が待っている。暫し待て翼徳」
張飛「チッ」
関羽「お待たせいたしました。では、やりましょうぞ」
劉備「これは失礼致しました。劉備玄徳と申す」
兄上と関羽殿が組み合った。兄上が関羽殿に勝てるわけがない。簡雍殿と田豫殿を見ると2人とも心配ないといった感じで、酒を頼んで飲み出した。兄上と止めようとしたが。
張飛「じゃあスタートだ」
張飛殿の合図で始まった。俺は兄上の負ける姿を見たくなくて目を瞑るが一向に終わりの合図が聞こえない。恐る恐る目を開けると。関羽殿が兄上に押されていた。
関羽「ぐっなんという力」
劉備「どうしました。腕相撲には自信がありましてね」
関羽「フンぬ〜」
劉備「それで最大ですかな」
関羽「ふんぬーーーーーーーー」
劉備「はぁーーーーーーーー」
兄上が関羽殿に勝った。
義賢「兄上〜凄いです」
俺は感嘆の声をあげていた。
関羽「ハハハ。最高ですなぁ。全く歯が立たなかったのは、初めてですぞ。兄者と呼ばせて頂きたい」
張飛「関羽が全く歯が立たないなんて、俺もアンタを兄者と呼ばせてもらう」
劉備「お前たちの兄か。それも良いかもしれんな。俺は漢室のために立ち上がり義勇兵を結成することにした。お前たちも共にどうだ?」
関羽「それは良いですなぁ。是非お供いたす」
張飛「黄巾党の奴らをギッタンバッタンにしてやるぜ〜」
義賢「それなら義兄弟の契りを結ぶというのは如何ですか?」
劉備「義賢、それは良いな。あの桜の木の下で酒を酌み交わすのはどうだ」
関羽「良いですなぁ。お供いたしましょうぞ」
張飛「それならうちからとびっきりの肉持ってきてやるぜ」
この酒場での話を聞きつけた300人ほどの者たちが集まった。
劉備・関羽・張飛「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん。皇天后土よ、実にこの心を鑑みよ。義に背き恩を忘るれば、天人共に戮すべし。」出典、『三国志演義』より抜粋。
言い終わると一気に酒を飲んだ。拍手が巻き起こる。ここに集まったものたちで総勢300人の義勇兵が決起したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます