1章 黄巾の乱 タイムスリップしたみたいです!

 俺の名前は、劉義賢リュウヨシカタ。三国志の三英雄が1人劉備玄徳リュウビゲントクが大好きな高校生だ。唐突だが俺は過去にいる。それも後漢末期黄巾の乱が始まった頃の涿群涿県楼桑村たくぐんたくけんろうろうそんだ。敬愛する劉備殿の出身地だ。俺は今めちゃくちゃ困っている。何故かって隣に敬愛する劉備殿がいるのだ。興奮を抑えきれない。そんな俺に劉備殿が話しかけてきた。

 劉備「義賢、どこに行っていたのだ。探したぞ。さぁ、共に母上と共に編んだむしろ売りを再開するとしよう」

 待ってくれ、この人は何を言っているんだ。訳がわからないぞ。キョトンとしている俺を覗き込む劉備殿。

 劉備「我が弟よ。どうしたキョトンとしおって。疲れたのだな。抱っこしてやろうか?」

 えっ俺が劉備殿の実の弟。なんだよこれ何が起こったんだよ〜。

 話は、劉義賢が高校の修学旅行で、グループの自由行動で、劉備の墓を訪れた時に戻る。

 友人A「義賢は、ホント三国志が好きだよな」

 義賢「三国志も好きだが俺が好きなのは劉備玄徳だ。人望に厚く。義を重んじ。民の暮らしを良くしようと頑張った名君なんだぜ」

 友人B「そんなのよ。言い伝えられてるだけでよ。ホントかわかんねぇじゃん。そんなことよりこの国は四大美女が有名だろ。ということで俺は可愛い子をナンパしてくるぜ。あばよ」

 友人C「私も、劉備とかどうでも良いし美味しいもの食べたいから、個人行動で好きなことするで良くない。じゃあね。行こっ」

 グループのメンバーは、こうして個人行動となった。1人残された劉義賢は、劉備玄徳の墓をくまなく調べる。

 義賢「なんだこれ」

 ガコン。ガガガガガガ。

 義賢「うわー」

 劉備玄徳の墓の中に落ちる劉義賢。

 義賢「イテテ」

 結構な高さから落ちたのに下にあった草がクッションとなり怪我一つ無かった。辺りを見回して奥にある劉備が愛用していたという双股剣そうこけんに触れる。

 義賢「これが劉備殿が愛用していたという双股剣か。すげぇ」

 すると双股剣が光輝きだし語りかけてくる。

 光輝く女性「双股剣に触れし者よ。玄徳様の運命をお変えください」

 ピカーンと光輝き、その光に包まれて、次に目を覚ましたのが冒頭部分だ。

 劉備玄徳がもう一度劉義賢を心配そうに見る。

 劉備「義賢?」

 これ以上敬愛する劉備殿を心配させるわけにはいかない。俺は覚悟を決めると劉備殿に返答する。

 義賢「兄上、申し訳ございません。ボーッとしておりました」

 劉備「ハハハ。ボーッとしていたか。良い。普段は兵法書などの勉学ばかりなのだ。たまにはボーッとするのも良いだろう。だが筵を売るのに協力してもらわねばならないぞ」

 義賢「はい、兄上」

 この日の筵はたくさん売れた。その帰り道、立札の前で足を止める劉備殿。

 義賢「兄上、どうしたのですか?」

 劉備「いや、最近黄巾党が活発らしくて、朝廷も黄巾党と戦ってくれる義勇兵を募っているそうだ」

 義賢「参加するのは、どうですか?」

 劉備「ハハハ。母上と義賢を置いて参加などできようものか」

 義賢「やんちゃな兄上1人で行くつもりだったんですか?」

 劉備「ん?」

 義賢「兄上が行くならこの義賢もついていきます」

 劉備「ハハハ。本気か?」

 義賢「勿論です」

 劉備「まさか、義賢に背中を押されるなんてな。ずっと参加したい気持ちと母上や義賢のことで板挟みになっていた。腹は決まった。共に母上を説得してくれるか?」

 義賢「はい。勿論です兄上」

 えっこれって俺が劉備殿の背中を押したから義勇兵が結成されるってこと?俺だいぶ凄くない。

 劉備「母上、玄徳戻りましたぞ」

 母上「お帰り、義賢も筵売りの手伝い御苦労だったね」

 義賢「母上、お気になさらず。それよりも俺は兄上と共に義勇兵を結成したいと考えています。どうかお許しください」

 劉備「義賢、いきなりか」

 母上「血は争えないのかねぇ。玄徳に義賢、良くお聞き。お前たちは、中山靖王劉勝ちゅうざんせいおうりゅうしょう様の末裔なんだ。国を想う気持ちがあるなら母さんは止めやしないよ。でもやるからには必ず黄巾党を倒して帝様をお救いしておいで」

 劉備「劉勝様の末裔。母上の言葉でさらに覚悟が決まりました。必ずや義賢と共に帝様をお救いして見せますぞ」

 義賢「兄上を誠心誠意お支えいたします」

 母上「うんうん、2人とも行っておいで。身体には気をつけるんだよ」

 義賢「母上も」

 劉備「母上こそ御壮健で」

 2人は、母上とヒシと抱き合い。家を後にする。

 義賢「兄上どちらに行かれるのですか?」

 劉備「古い馴染みでな。性を簡、名を雍、字を憲和、簡雍憲和カンヨウケンワという。テンションが高いやつだが政治に明るい男だ」

 トントンと扉をノックする。

 劉備「劉備だ。簡雍居るか?」

 簡雍「劉備か。空いてるよ」

 劉備「邪魔する」

 簡雍「邪魔するなら帰って」

 劉備「はいよ〜って違う違う」

 えっこれは現実世界で馴染みがあるんだけどこの時代でもこんなことしてたのかな。

 簡雍「本当に面白いやつだな劉備は」

 劉備「簡雍、この度義勇兵を結成することにした。お前も共に戦ってほしい」

 簡雍「やっと決心したのか。良し、戦いには向いていないがこの舌で劉備を支えてやるとしよう。いや殿」

 劉備「やめてくれ、お前と俺は馴染みだ。今まで通り劉備と呼んでくれ」

 簡雍「いやそれはダメだ。これよりは殿と呼ばせてもらう」

 劉備「言い出したら頑固だからな君は」

 簡雍「そちらにいるのは義賢か?大きくなったな。この前会ったのはいつだったか。劉備が盧植先生の元に行っていた時だったか」

 俺には勿論簡雍殿と会った記憶などない。どう答えるべきか悩み。当たり障りなく返答した。

 義賢「お久しぶりです簡雍殿。俺も兄上をお支えするべく義勇兵に参加します。よろしくお願いします」

 簡雍「おぅよろしくな義賢。そうだ、参加するならアイツも誘わないとな」

 劉備「参加してくれると思うか?」

 簡雍「まぁ任せておけ」

 劉備「わかったよ」

 簡雍の案内に従い、アイツと呼ばれている人の元に向かうこととなった。

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