004 初戦闘!!!
「・・・こんな簡単にできるなんてねえ」
目の前にあるログハウスを見て感動する。
これ3秒で作ったんだぜ、信じられるか?
・・・ぼくに語尾「ぜ」は似合わないからやめようそうしよう。
僕は今拠点建設中です。
スキルのことで頭がいっぱいになってたけどご飯とか寝る場所とか作らないと!!
お腹はすいてないからまず拠点からだ!!
折角【錬金術】と【光速演算】があるんだ!頑張ろう!!
と、思ってたら。
〈連携させて私の中にある設計図を【錬金術】で作ることができます〉
だってさ。
そして、よくわからないままお願いしたら・・・
ドーン・・・
「・・・こんな簡単にできるなんてねえ」
目の前には高床式L字型の立派なログハウスが。
ちなみにテーブルやイス、棚、ベット(ダブル)はすでに置いてある。
・・・特に舐めてるつもりはなかったんだけど予想の斜め上というか真上に行っちゃってるねこれ。
「すっご・・・」
中もめっちゃきれいだし・・・完璧じゃん。
〈お好みでタンスなどの家具やガスコンロや家電も作れますがいかがされますか?〉
はへー家電まで作れ・・・はい!?家電!?
え、なんでそんなの作れるの!?・・・ってそうか。この世界にも家電がある可能性だってあるし、別に
〈いえ、地球の物ですが〉
・・・はいぃ!?なんでぇぇぇ!!?
え、ケイさんあなたこの世界のためのスキルなんだよね!?
なんで地球のことまで知ってるわけ!!?
〈転移前に天使がそう設定したからです〉
・・・・・・・・・・・・あ、天使さんがしてくれたの?
というかできるんだそんなこと。
あの人下界のこと知らないくせになんで地球のこと知ってるんだよ。
「まあこの設定してくれたことには感謝しないとなあ」
実際助かったし。
「それで、ガスコンロとか家電は作ったらすぐ使えるの?」
〈はい。【錬金術】から必要な能力をコピーしてますので〉
「・・・優秀だねケイさん。いや、ケイ様」
〈私の主人はあなた様です。様づけはお控えください〉
「えー」
咎められてしまった。
ケイ様、なんかどっかのホストみたい。
「それじゃ置きたい場所を指定するからお願い」
〈承知しました〉
そんなこんなしてたら1時間くらいで間取りが決まった。
いや~・・・スキル様々だあ。
〈ご主人様!ここから南方500m先に大型生物の反応がありました!〉
「え!?・・・わかった。取り敢えず見に行こう!」
ここらはかなり開けているので500m先でもここから見える筈・・・
・・・ズシーン・・・
「って、でっか!!!?」
そこにはでっかいクマが二足歩行で歩いていた。
いやでっか・・・何メートルあるんだあれ。
〈高さ約5メートルです〉
「5メートル・・・僕の大体3倍ってとこか。名前とかわかる?」
〈キラーベアジェネラル。熊型の魔物キラーベアの上位種。基本は4足歩行だが戦闘時や索敵時に立ち上がる。攻撃方法は爪と牙による近接攻撃。弱点は頭部。毛皮は魔法や斬撃がかなり効きにくいため打撃のみ効果がある。ただし知能も高いため、ハンマーや石などは警戒されて当てにくい。複数人で囲んでの戦闘が基本〉
なるほどね・・・打撃が有効だけど向こうもそれをわかってる、と。
頭いいんだなあ。
「基本的にこっちからは仕掛けない。向こうが仕掛けてきたら応戦する。ケイさん、相手の行動予測お願い」
〈承知しました〉
とは言ったものの、あの熊こっちの向かってきてるんだよなあ。
〈行動予測でも直進の可能性が最も高いです〉
だよねえ・・・
【錬金術】で即座にハンマーや岩を作ることは可能だけど、その両方に対応してるっていうことは、それぞれ個別に記憶しているか、色で判断しているか。
ということは、あの熊が今まで見たことがない色と形のものにする必要があるとみていいだろう。そして直前まで打撃かつ狙いが頭であることを悟らせてはいけない。
「ケイさん。【錬金術】でものを生成するのと温度を変えるのはどっちが早い?」
〈温度変更です〉
オッケー。じゃあ、これで行こう!
「グオオオオォォォォォォォォ!!」
気づかれた。こっちに向かってくる。つまり攻撃態勢をとった!!
僕はすぐさま横に跳ぶ。家の前で戦う意味もないしね。
そしてそのまま大量の水を生成。それを熊にぶつける。
「これでも食らえ!」
熊が水に流される。
ダメージは入ってない。そりゃそうだ、押し出されただけなんだから。
「グオオオオオオオォォ!!!」
熊が飛び上がった。身軽だなあ熊のくせに。
〈飛び掛かり攻撃。カウンター可能です〉
スローモーションカウンターします!!
〈『絶』起動。拳保護完了〉
視界がスローになり、僕の両拳が金属に包まれる
〈攻撃軌道予測完了。右方向によけてください〉
熊の攻撃は左前脚の振り下ろし攻撃のため指示通りに右によけそのままわき腹に右ストレートを叩き込む
ズドゴガン!!!!
およそ拳から出たとは思えない打撃音が鳴り響く。
勢いよく真横に吹っ飛ぶ熊。驚いたのか声も出ていない。
そして僕は、「あんな音出たのに全然手が痛くない・・・!」と感動している。
「グウウウォォオオオオオオオォォォ!!!」
〈体当たりが来ます!左に回避!〉
「わかった!」
ドゴオオオオオオオオン!!!
突っ込んできた熊を避けたためそのまま木にぶつかる。
ぶつかる時もちゃんと頭ではなく肩からぶつかっていた。
「グオオオオオ!!!」
ほとんど隙を見せず振り向く熊。
その図体のくせにほんと身軽だよなぁ。
「もういっちょ食らえ!!」
また水の球を作り出し、相手の頭ぶつける。
「グウオオオオ!?」
いきなりの水に視界がぶれて混乱する熊。
よし、ここだ!!
足元に鉄の柱を生やし、その勢いを使って高く跳躍。
そして熊の真正面に位置取りし、また大量の水を生成する。
「グオオオオオオオオ!!!」
熊もそんな僕を迎え撃とうと構える。
攻撃が水なら反撃できると思っているんだろう。甘い
そして飛び上がった僕は重力で熊に急接近する。
3・・・2・・・1!今だ!!
「凍結!!!」
その瞬間水の周りの温度が-100℃まで下がり一瞬で水が氷に変化する。
そして重さ1トン、攻撃面半径5メートルの氷のハンマーができる。
「グオオ!!??」
熊がびっくりした顔をするけどもう遅い。
「うぅおおおぉぉりゃあぁぁぁああああ!!!!!!」
僕は【身体強化】も使って全力フルスイングした
ドパアァァン!!!
その結果、横薙ぎに振ったアイスハンマーはクマの頭部を軽々と粉砕した。
首から上が跡形もなく消え去っていて、なかなかグロテスクなことになっている。
倒したはいいものの、この後どうしよう。
〈まずは血抜きをしましょう〉
そうだ血抜きしなきゃ。えっと足を上にして木とかに吊るすんだっけ?
〈その方法でも可能ですが、【錬金術】で血抜き、解体が可能です〉
「え、マジで?」
【錬金術】さんが有能すぎる件。このスキルできること多くない?
「じゃあ、お願いしていい?」
〈承知しました。解体を実行します〉
シュパアアアァァァン・・・
おおおお・・・骨、血、肉、毛皮、魔石に分解された。便利だな~。
取り敢えず【収納】っと。
そういえば錬金術で使える素材ってあるのかな?
〈血はポーションに、骨は高性能肥料に、毛皮は防具に、魔石はマジックアイテムに利用可能です。肉は食べられます〉
「案外役に立つんだね、この熊さん」
〈キラーベアジェネラルは上位魔物なので利用価値も高いのです〉
「なるほどね」
それじゃあ初めての錬金術で熊の血でポーションを作ってみよう。
どんなポーションが作れるの?
〈多数のポーション作れますが、近辺の素材で最も高性能なものは上級回復ポーションです〉
上級回復ポーションね・・・うん、それを作ろうか。ほかの素材は?
〈『ヒール草』と『ケミー草』です〉
・・・なんというか、わかりやすくていいね。
ってそういえば名前だけわかっても意味ないじゃん。
〈ヒール草とケミー草を表示します〉
うわあ!?な、なんか視界にカーソルが出てきたんだけど!?
それになんか黄緑で縁取りされてる草が・・・ってこれが目的の素材?
あ、カーソル合わせたら〔ヒール草〕って出てきた。
〈その植物がヒール草になります〉
ということは同じ縁取りだからこの草も・・・ってこっちはケミー草なんだ?
う~んこれはちょっと紛らわしいな。
ケイさん、ケミー草の縁取りの色を変えることってできる?
〈こんな感じでいかがでしょうか〉
お、ケミー草の枠がちょっと落ち着いた色になった。
これでわかりやすくなったね!
「そういえば、熊さんの血を全部使おうと思ったらどのくらい必要なんだろう?」
〈それぞれ5キロほど必要です。〉
「うおおお・・・それはまたいっぱいいるねえ」
〈ですので、すべて上級回復薬にするのはお勧めしません〉
あ、そういえばさっき『この近辺で取れる素材で』できるものって言ってたもんね。
場所が変われば植生も変わるし、そうすればまた別のポーションが作れるようになるのか。
〈その通りです〉
よし、じゃあそれぞれ500gづつ採ろうか。
――――――――――――――
30分後
よし、いい感じに集まったね。
途中で、ケイさんに『ヒール草とケミー草はよく使われるから多めに採っといたほうがいい』というアドバイスがあったので、それに従ってそれぞれ1kgほど集めた。
うち『上級回復薬』に使用するのは200gほど。これでも40個分になるらしい。
よし、じゃあ作ってみよう!!
〈まずは【錬金術】で3Lほど入る金属製の釜と加熱装置を作りましょう〉
よし、釜は・・・アルミ製でいいかな。3L入るくらいだね。
加熱装置はブタンを使ったLPガスカセットコンロにしよう。
よし、『生成』!!
と唱えるだけでポンっとカセットコンロと釜が出てくる。
便利な時代やなぁ・・・
〈では【錬金術】でヒール草とケミー草を乾燥させ粉末にしましょう〉
え、そんなことできるの?
〈ヒール草とケミー草を指定して『乾燥』と唱えたのちに『粉砕』と唱えます〉
ほう、そんな簡単にできるのか。
え~っとまずはカーソルでヒール草とケミー草を指定して・・・っと
『乾燥』!そして『粉砕』!
ポンッ!
できちゃった・・・すっごい簡単・・・
〈次に血1Lと水1L、粉末を窯に入れて火にかけてください〉
えっと、血1Lを測り取って・・・水1Lを生成。
それと粉末を窯に入れて・・・火にかける!
〈あとは弱火のまま10分ほど混ぜます〉
火はかけっぱなしでいいの?
〈はい〉
やっと実験みたいなことができるね。
――――—――—―――――
10分後
〈そのくらいでいいでしょう。火を消してください〉
オーケー、わかった!
〈そして最後に釜に手をかざし『合成』と唱えてください〉
よ~し、手をかざして・・・『合成』!!
パァァァァァァァァァァァァ・・・
うわっ、眩しい・・・!
光が収まると中には金色の液体が。
・・・これで完成ってことだよね?
〈はい。あとは50mLづつ容器に入れましょう〉
よ~し、『上級回復薬』完成だ!!
次回ヒント:NaCl、C₁₂H₂₂O₁₁
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