第14話
『今回のことは全て運が良かっただけです。僕は何もしていません。僕は、あなたが思っているほど賢くもないし、分別のある人間でもないけど、優しくなりたいとはいつも思っています。人に親切にすると自分も人から親切にしてもらえると母に教えられましたが、その本質は、自分から人に優しくすると良い結果が生まれる確率が高まる、というところです。親切が必ず返ってくるとは限りません。運です。生前、僕をいじめていたやつらに理由を聞いたことがあります。なぜ僕をいじめるのかと。やつらの一人がこう言いました。「お前はそういう星の元に生まれた」と。つまり、理由なんてなかったのです。運です。僕は運がなかったのです。だから、もっと優しくなりたいと思うのです。依頼主の方に伝えて下さい。彼の今の姿は、自分の行いで運を無くしていった結果だと。依頼主と、依頼主の友人には彼の現状を哀れに思ってほしい。そう伝えて下さい。お手紙、おまじないありがとうございました。あの女の子にも手紙を書いてあげて下さい。きっと喜ぶと思います。最後に、彼女はもう日本にはいません。僕が契約を交わして自由にしました。この世で最も美しく、最も優しい存在です、あの、火の魔物は。』
報告は以上です。Fの言う通り、今回の成果は運が味方をしてくれた、単なるまぐれなので、お代は請求出来ません。
それではどうか、お元気で。
火の魔物 @kasukana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます