第11話

 彼はワラに上着をちぎられて、背中の肉を爪でえぐられ、模様を刻まれていました。少女はそれを見てめまいを起こしました。Fが駆けつけて少女を支えようとすると、少女はFにしがみつきました。ワラが傷つけ終わると、彼は倒れたまま動き始めました。手と足、顔も地面につけ、5足歩行でゆっくりと前に進み、魔法陣の中に入っていきました。彼は意識を失ったままでしたが、何かを話していて、その声はどんどん大きくなりました。「助けてやる。世界に発信する。」というようなことを言っていました。彼の顔は潰れていき、声も喉に血が詰まっているのかゴボゴボという音になっていました。少女はついに諦めて、ペンダントをFに渡し、床の煤で魔法陣の一部を変更しました。とても悔しそうでしたが、もう怖がっている様子はありませんでした。Fのことを信じ、魔法陣を解いたのです。Fのほうは受け取ったペンダントを自分の顔の前に持っていき、それに付いている赤い宝石を何度も指差しました。それが僕への合図だとすぐに分かり、Fの意志を理解しました。あのFが、少女を危険にさらすわけがなかったのです。

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