第5話
霊感がなくても見たという人も多くて、割と有名なのかもしれませんが、金縛りになった時に現れる顔のない女の話はご存知でしょうか。常に浮遊していて、金縛りで動けない人の周りを行ったり来たりしながら、少しずつ近づいてくるが、顔はぼやけていて絶対に見ることが出来ない。赤いドレスを着ていると言う人もいますが、僕には火のついた喪服を着ているように見えます。自分自身の生き霊であり、死神だという説もありますが、ここで重要なのは、それが僕とFにとって明らかな脅威であり、その場にいた全ての火の玉から生まれようとしていることでした。
僕はすぐさま、『逃げろ』とだけ書いた手紙を燃やしました。受け取ったかどうかは水晶が一瞬赤く光ったのでわかりました。そして、Fは瞬間移動で僕の目の前に逃げてきていました。僕の部屋に、学ランを着た青いガラス玉の少年が、息を切らしたように、またはひどく落ち込んだようにうつ向き、膝に手を置いて、そこにいたのです。「消される」と、Fはそう言いました。その声はガラガラで、声変わりしたての独特な感じがしました。僕は、「出来っこない」と言い返しましたが、その時はこの後どうなるか本当に分かりませんでした。
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