第12話 芽瑠が爆乳な理由…?

「待たせすぎちゃったかな?」


 中村優斗なかむら/ゆうとが街中で待っていると、綺麗な服装に身にまとう彼女がやってきた。


 結城芽瑠ゆうき/めるが駆け足で近寄ってくると、その豊満な胸が揺れ動く。


 目のやり場に困る。


 芽瑠は動きやすいシンプルな服装ながら、胸元が大きく、その地味さがかき消されているようだった。

 それほど、おっぱいが魅力的に、優斗の瞳には映っていたのだ。


「そんなことないよ」


 優斗は一応、そう言っておいた。


 爆乳さが凄まじく、多少時間より遅れてしまったとしても許せるほどだ。


 現在、一〇時頃。

 デートするのには、丁度いい頃合いだろう。


 土曜日という事も相まって、街中を見渡せば人の行き来がある。


 今日は街中でイベントがある日なのだ。


 だから、優斗は芽瑠と一緒に行きたい場所があった。




「どこに行くか決めてる?」


 優斗は一応、彼女の意思を確認しておくことにした。


「あるけど。優斗君は行きたいところってあるのかな?」

「まあ、あるよ」


 今日のために色々と試行錯誤を重ねてきた。

 それを今、開花させるには打ってつけだろう。


「俺、行きたい場所があってさ。結城さんは、それでもいいかな?」


 優斗は彼女の返答を聞くために問いかけているのに、彼女の爆乳ばかりに視線がいってしまう。


 それは、今は気にする事じゃないから……。


 爆乳の方に目がいってしまい、困惑する。


 今は、芽瑠を恋人のようにリードする事だ。


 爆乳とかが物凄く気になってしょうがないが、一先ず、目的となる場所に向かおう。




 優斗は予定通りに彼女を導こうとする。


 本当は手を繋ぐとかを積極的にやってみようとも思ったのだが、やはり、今のところ難しそうだった。


 それに関しては勇気を出せなかったのだ。


「どこに連れて行ってくれるの?」

「えっと、なんていうか。デパートとかじゃないんだけど」

「デパートじゃない?」


 芽瑠は一瞬、不安そうな顔を見せる。


 変な場所だと勘違いされる前に、優斗は咄嗟に言葉を紡ぐことにした。


「キッチンカーのところだよ」

「キッチンカーって、あれ? 車に料理があるような感じの」

「そうそう」


 彼女はわかっているようだ。


 そもそも、キッチンカーとか。この頃、街中でも結構見かけるようになった方だと思う。


 優斗は彼女を、そこへ案内することにした。






 今、到着したところは街中にある公園。


 郊外にある公園のように、遊具があるようなタイプではなく。自然を楽しめるような空間が広がっている公園だ。


 街中に居ながらも、人間本来が感じられる自然の空気を堪能できることでも有名だった。


 比較的、他のところよりも、草木が結構植えられている。


 心が穏やかになれるような気がした。




「ここって、空気がいいよね」

「そうだよね」


 優斗は、彼女の言葉に相槌を打った。

 少しは自分に対する評価が上がったかもしれない。


 今日は絶対に、失敗ができないんだ。


 遠くの方を見れば、そこにはキッチンカーが数台ほど見える。


「あっちに行ってみよ」

「何を売ってるのかな?」

「それはわからないけど。多分、たこ焼きとか、そういうのもあると思うから」


 キッチンカーと言えば、たこ焼きとか、お好み焼き系統が多い気がする。


 二人は、その場所へ移動する。

 キッチンカーの近くらへんに到達すると、意外と混んでいることがわかった。


「何がいいかな、優斗君。私は、クレープとかもいいんだけど……あれ? クレープの売り場もあるね」


 彼女は明るい声を出す。


「そうみたい。もしや、クレープが好きなの?」

「うん。好き」


 クレープやアイス系が女子受けいいのは、どの時代も共通しているようだ。


「今回は俺が奢ってあげられるから、なんでもいいよ」

「本当に?」

「うん」


 優斗は気前よく頷いた。


 今日は、芽瑠が持っているブラジャーと、このリュックにしまっているブラジャーを交換すること。

 そのために必要なのは、彼女に対して親切に接すること。


 親切という定義とは、人によって少し解釈が違うかもしれないけど、今のところ奢ってあげる事しかできなかった。


 二人は、クレープのところに並ぶことにしたのだ。

 クレープには色々な種類がある。

 全部魅力的に見えて、なかなか選べそうもなかった。

 けど、何かは選ばないといけないのだ。


 ようやく二人の番になる。


「私、このイチゴとチョコとバナナのクレープがいいかも」

「じゃあ、俺もそれで」


 すぐに決められなかったこともあり、優斗はクレープ有識者である彼女に流されるように、キッチンカーにいる店員に注文をする。






「これ、美味しいね」

「うん、ほんとだね」


 優斗は同調するように頷いた。


 やはり、有識者だけはある。


 芽瑠と一緒のもの選んで正解だった。


 そう思えるほどに、当たりだったのだ。


 二人はキッチンカーから少し離れたところにある公園のベンチ隣同士で座り、クレープを堪能していた。


「結城さんって、普段からクレープって食べてるの?」

「うん。でも、あまり食べ過ぎないようにはしてるんだけどね。けど、一週間に二回くらいは食べたくなっちゃうの」

「へ、へええ、そうなんだ」


 普段から食べているのに、彼女の体系を見る限り、太っている感じがしない。


 どういう体質をしているのだろうかと思う。


 まさか、すべてがおっぱいの方に向かっているのだろうか?


 そう思うと、不思議なことに納得がいく。


 やはり、芽瑠が爆乳なのは、すべての脂肪が豊満な二つの膨らみへと集まっている

からだと、自分の中で結論づいたのだった。


 おっぱいが大きい理由は、そういう体質なのかもしれない。


 その上、おっぱいが大きくても現在の体系を維持できているのは凄いと思う。


 というか、そればかりじゃなくて。


 芽瑠ともっと距離を縮めるための会話をしなければと思い、口に含んでいるクレープを一先ず処理する。


「えっと、クレープ以外だったら、どういうのが好きなの?」

「私は、ドーナッツとか、ケーキとかかな?」


 芽瑠は考え込みながら返答してくれた。

 やはり、彼女は一般的な女の子と同様に、スイーツ系をよく好んで食べているようだ。


 時間があったら、色々なところに行こうと、妄想を膨らませていた。

 けど、今日は絶対にやらないといけないことがあり、やりたいことをすべてできるわけじゃない。


「えっと、今日は、午後から暇だったりする?」

「今日は問題ないよ。大丈夫だよ」

「そうか……じゃあ、少し提案があるんだけどさ」


 だったら、チャンスである。


 芽瑠の気分は綺麗に整っている方であり、攻め込むなら今しかない。


 そう思い立ち。

 勇気を振り絞る。


「今日、結城さんの家に行ってもいいかな?」

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