第5話 彼女は卑猥なトレーニングをしている⁉
しかし、その大きさは小さい方。
そもそも、校舎内で上半身だけ全裸というのもおかしな話だ。
だが、人生で初めてのリアルなおっぱいとの対面に、心臓の鼓動が落ち着かなくなっていた。
まさか、こんなタイミングで見ることになるなんて。
恋人ができて、いい感じになってから見ることになると想定していた。
が、意外にも早い展開である。
「見たんだし。約束してくれるでしょ?」
「え……」
「約束してくれるんでしょ?」
「あ……はい……」
優斗は部室の床で仰向けになりながら、おどおどした口調になる。
腹のところに座っている南奈から圧迫され、何となく頷いていたのだ。
「じゃあ、約束ね」
「え、うん……」
「でも、裏切ったら、あんたの学校生活終わるかも」
那奈は優斗の顔をまじまじと見、ニヤッと笑った。
裏切られない展開。
何も抗えないところに、自分の弱さを痛感していた。
どうしたらいいんだよ。
自分なりの答えすら見つけられずに頭を悩ませてしまう。
「それで、どうだった? 私の見て」
「それは別に……言わないとダメか?」
「だって、見たんだし。感想を知りたいっていうか」
「でも、君の方から勝手に見せてきたよね?」
「それでもッ」
南奈は頬を真っ赤に染めているが、答えだけは知りたいらしい。
なんて返答すれば……。
優斗が悩んでいると、彼女は顔へ、口を近づけてくる。
な、なに⁉
いちいち、気まずくなることはしないでくれ……。
内心、心臓の鼓動が激しく高鳴ってばかりだ。
少しは落ち着かせてほしいと思う。
「なんか、埃ついてたから」
「そ、そうか」
「それで、改めて聞くけど感想は?」
南奈は強引に答えを求め続けてくる。
顔が近いんだけど。
「まあ、普通というか。健康的だと思うけど」
優斗は最もらしいことを言っておくことにした。
これでどうなんだ。
優斗は一瞬瞼を閉じ。そして、ゆっくりと目を見開いて彼女の様子を伺う。
「まあ、そう言ってくれるならいいけどね」
先ほどおっぱいを見てしまったのは事実である。
しかし、不可抗力であり、すべて自分のせいにされるのもどうかと思う。
結果として入部する羽目になった。
いつまで、上半身全裸でいるつもりなのだろうか?
体を上手く動かせない態勢上、目のやり場に困る。
その他にも言いたいことはあった。
「えっと、そろそろ、俺の上から降りてくれないかな?」
「逃げない?」
「逃げないから」
優斗は胸の辺りを軽く押されながらも返答する。
「じゃあ、あの子に断りの連絡して」
「え、いや、でも……」
「いいから。じゃないと、どうなるかわからないよ。優斗の学校生活とか」
優斗の人生は、貧乳な彼女の手に収められていた。
「……わかった。でもさ、この状況だと連絡できないんだけど」
「じゃあ、約束する?」
「わ、わかった。する」
「本当ね? 約束だから」
南奈は何度も念を押し、その後で優斗のことを解放してくれた。
夏理南奈とはそこまで親しい関係とかではない。
クラスが同じで席が隣同士。
特に友人のように会話するような間柄でもないけど。授業の都合上、ちょっとしたやり取りをしたことがある程度だ。
ここまで執拗に話しかけてくるなんて、どういうことなんだろうか?
優斗はその場に立ち上がり、スマホを制服のポケットから取り出す。
「連絡取れた?」
「今やってるところ」
「早くね」
「わかってるから」
優斗はしょうがないといった感じにスマホを弄り。今日はどうしても無理という趣旨を
ようやく爆乳系の美少女と付き合えるようになったのに、非常に残念だ。
こんなんじゃ、芽瑠へのイメージが最悪である。
数秒後、彼女からしょうがないねと言った感じの内容のメールが届く。
また明日予定を決めようねとだけ、文章に添えられていたのだ。
申し訳なさが、自身の胸を抉るかのようだった。
「連絡を取り終えた?」
「ああ。これでいいだろ」
「いいよ。じゃ、ひとまずこっちにおいで」
「それより、服を着たら?」
「え、まあ、着るけど。見たいっていうなら」
「そ、そういうのはいいから。俺の方が色々やばいし。それに先生が来たら、困るだろ」
「そうだけど。見なければいいじゃん。それより、こっちに来て」
南奈から促され、テーブルがある方へ向かう。
そこには、事前に用意されていたかのような一枚の用紙が丁寧に置かれていた。
「これは?」
「入部の手続き用紙だけど」
「本当に入部しないといけないのか?」
「そうよ。当たり前じゃない」
おっぱいを見たことをバラされるくらいなら、入部しておいた方が身のためだと本能的に感じる。
「俺が入部していることは誰にも言わないでほしいんだけど」
「なんでよ」
「知られたくないから」
優斗はハッキリと伝えた。
「それはその時の状況によるわ。でも、考えておくわ」
「考えるほどか? ただの約束するだけでいいのに」
優斗は、テーブルの前に立ち、用紙に記入する姿勢を見せると、チラッと彼女の方へ視線を向けた。
すると、南奈は上半身全裸のまま、自身のおっぱいを揉んでいたのだ。
「な、何してるの⁉」
「それはトレーニング」
「そういうの普段からしてるのか」
「そうよ。じゃないと成長しないでしょ」
南奈は小さいということを気にしているのだろう。
「それで、オカルト部って何をしてるの? それと関係ない気が」
「関係あるわ。それと、呪いをかける練習のため」
「の、呪い? ど、どんな感じに?」
用紙に向けていた手を止める。
呪いという言葉を聞くと背筋もそうだが、胸元もゾッとする。
不謹慎すぎるだろ。
「簡単に言えばね。呪いの力で爆乳の数を減らすことに繋がるの」
「減らす?」
「私よりも大きいとか絶対に当てつけなのよ。だから、それが嫌なの。私以外の子は小さいままでいてほしいの」
「そんなことで?」
「そんなことって。私にとっては重要なことよ。皆が呪いで小さくなっても、私が小さかったら意味がないし。だから、大きくするための練習もしてるの」
南奈からジロッと睨まれた。
「ごめん……でも、他人のを減らすことまではしなくてもいいような」
「するの。じゃないと、私が目立たないじゃない」
「そんなに大きくなりたいのか?」
「そうよ。私のが大きくなっても。どう考えても、あの子らには勝てないでしょ。呪いは私にとっては重要な要素の一つなのよ」
彼女は再び貧乳を揉みながら言うが、優斗は彼女から視線を逸らしていた。
「そうか……で、でも、そう簡単には大きくならないと思うけど」
「そんなことはないわ。少しは大きくなったと思うし」
「ど、どれくらい?」
「変態、そういうのに興味があるの?」
南奈の言葉に乗せられ、引っかかってしまったようだ。
「えっと、まあ、一応、書いたから」
優斗は話を逸らす。
急いで入部届に書き出し、速攻で手渡しした。
「……記入漏れはないようね。わかったわ。これで、私と同じ部員だから、よろしくね」
と、露出狂染みた彼女から、意味深な笑みを向けられることになった。
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